東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、出版大手「KADOKAWA」側が、大会組織委員会理事だった高橋治之容疑者(78)(受託収賄容疑で逮捕)の知人の会社に対する資金提供について、高橋容疑者の提案と認識していたことを示す社内資料を作成していたことがわかった。東京地検特捜部は資料を入手し、提案に沿って支払いが実行されたことから、KADOKAWA側が高橋容疑者の意向通りに資金提供した証拠とみている。
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複数の関係者によると、KADOKAWA側は2016年、知人の深見和政容疑者(73)(同)から、組織委に2億8000万円、深見容疑者の会社「コモンズ2」に7000万円を支払う案を示された。
KADOKAWA側は、深見容疑者の提案を記載した資料を作成。資料の冒頭には「T理事から」と記載されていた。特捜部はこの記載から、KADOKAWA側が、深見容疑者を通じた高橋容疑者の提案と認識していたと判断したとみられる。
KADOKAWAは19年4月にスポンサー契約を締結し、提案通りに支払いを実行。特捜部は、コモンズ2に提供された約7600万円を賄賂と認定した。高橋、深見両容疑者は容疑を否認しているという。