[モスクワ/キーウ(キエフ) 9日 ロイター] – ウクライナ東部ハリコフ州に駐在するロシア当局者は9日、ウクライナ軍が同地域でロシア軍の防衛線を突破し「実質的な勝利」を収めたとの見方を示した。また、同州のイジュムやクピャンスクなどロシア支配下にある3都市から市民が避難していることを明らかにした。

ハリコフ州のロシア当局者、ビタリー・ガンチェフ氏はロシア国営テレビで「ロシア軍の防衛線が突破された。この事実はウクライナ軍の実質的な勝利といえる」と述べた。ロシア側が公式にウクライナによる反攻を認めた格好。

ウクライナのゼレンスキー大統領はこの日のビデオ演説で、ウクライナ軍が反転攻勢をかける中、ハリコフ州で30以上の集落をロシア軍から奪還したと表明。ウクライナ軍はいくつかの地域で作戦を成功させていると述べた。

ロシア軍は2月24日の侵攻開始の直後にハリコフの一部を制圧。ハリコフでのウクライナ軍の進軍について、ロシア大統領府はコメントしていない。

こうした中、ハリコフ市のイーホル・テレホフ市長は対話アプリ「テレグラム」への投稿で、ハリコフ市中心部が9日にロシア軍によるロケット弾攻撃を受け、子ども3人を含む少なくとも10人が負傷したと明らかにした。子どものための美術センターと学校のほか、民間住宅がロケット弾の攻撃を受けたという。

ハリコフ州のオレグ・シネグボウ知事は、ロケット弾攻撃で子ども3人を含む14人が負傷したとしている。ロケット弾は「ウラガンMLRS」システムから発射されたという。

ウクライナ大統領府のイエルマク長官は、ハリコフ市への攻撃はウクライナ軍の成功に対する報復との見方を示し、「ウクライナ軍が勝利するたびに、ロシア軍は無実の人々への攻撃で応酬する」とテレグラムに投稿した。

ゼレンスキー大統領は8日、ウクライナ軍が反転攻勢をかける中、今月1日以降1000平方キロ(390平方マイル)を超える領土をロシア軍から奪還したと明らかにしている。

米シンクタンクの戦争研究所は9日、ウクライナ軍が72時間以内にクピャンスクを奪還する可能性が高いとの見方を示した。