[ブリュッセル 12日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は、エネルギー価格の高騰に苦しむ市民や産業の支援に向け、エネルギー価格高で利益を得ている化石燃料企業に対し金銭的な協力を求める意向だ。ロイターが草案を入手した。

草案によると、石油、ガス、石炭および精製企業は「課税対象となる2022年度の余剰利益」に基づき「連帯拠出金」を支払う。詳細は今週にも発表される見込みだが、公表前に修正される可能性がある。

この暫定的な制度により、各国政府は欧州のエネルギー危機を緩和するための対策に必要な資金を調達する。制度にはエネルギー価格高に直面している家庭や企業への支援、エネルギー集約型産業への支援、EUのエネルギー消費削減、エネルギー供給の自給自足化などが含まれている。

現在のエネルギー情勢がロシアによるウクライナ侵攻に端を発した緊急的なもののため、今回の措置に加盟27カ国の全会一致による承認は必要なく、過半数の賛成での可決が可能となる。

草案によると、欧州委はまた、ガス燃料ではない発電所の売上高を一部回収し、エネルギー価格高に直面している消費者の支援に充当する措置も提案するという。

パンデミック(世界的大流行)後の需要の急回復とロシアのウクライナ侵攻による石油・ガス価格の高騰により、エネルギー企業の利益が押し上げられている。

欧州の主要なエネルギー企業の第2・四半期利益は増加。フランスのエネルギー大手トタルエナジーズは115億ドルと過去最高益を計上したほか、米欧のエネルギー大手、シェルの四半期利益は98億ドルだった。

シェルの広報担当者は「当社は、欧州やその他の地域におけるエネルギー価格危機を緩和するために、協調的な政策やその他の行動が必要だと認識している。EUによる『連帯拠出金』の提案を承知しており、欧州委からのさらなる詳細を待っている」と述べた。