【ワシントン時事】ウクライナのゼレンスキー大統領は23日のビデオ演説で、ロシアがウクライナの占領地域でも動員の準備を進めていると主張した。ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で7カ月。占領地域の編入に向けた「住民投票」など強硬手段に打って出たロシアに対し、国際社会からの反発が一段と強まっている。
「偽の投票」、効力なし ウクライナ東・南部の編入認めず―G7首脳
ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻のてこ入れのため、一部の予備役を招集する部分動員令に署名。独立系メディアは、100万人の動員を計画していると伝えた。
ゼレンスキー氏は、ロシアが自国内だけでなく、「現在支配している(ウクライナ南部)クリミア半島や他の地域でも、犯罪的な動員を行おうとしている」と指摘。「クリミアでは(先住民族)タタール人が密集して住む地域で、多数の男性を動員しようとしている」と述べた。
その上で、プーチン政権が「侵略した土地の住民の命をできる限り多く奪おうとしている」と批判。占領地域の住民に、動員への徹底抗戦を呼び掛けた。
一方、ウクライナ東部・南部の占領地域で親ロシア派が開始した「住民投票」をめぐる非難も相次いでいる。先進7カ国(G7)は首脳声明で、「われわれは『住民投票』を決して認めず、仮に併合しても決して認めない」と表明した。
バイデン米大統領は23日の声明で、ウクライナでの「偽の住民投票」が国連憲章など国際法に違反しているとして、対ロ追加制裁を検討すると宣言。欧州連合(EU)も追加制裁を検討しており、米欧が足並みをそろえた格好だ。