[国連 25日 ロイター] – ロシアのラブロフ外相は24日、国連総会出席のため訪問している米ニューヨークで記者会見し、ウクライナ東部と南部で住民投票が実施している地域がロシアに併合された場合、ロシアの「完全な保護」下に置かれると述べた。
また、核戦力使用に関する方針を盛り込んだ軍事ドクトリンに言及し、併合した地域の防衛に核兵器の使用もあり得ると示唆した。
親ロシア派勢力が実効支配するウクライナ東部のドネツク州とルガンスク州、南部のへルソン州とザポロジエ州の一部地域で23日から27日までの予定で住民投票が実施されている。
ラブロフ氏は会見で「ロシアは、ネオナチ政権の虐待に長年苦しんできた人々の意思を尊重する」と述べた。
ウクライナの併合地域を防衛するために核兵器を使用する根拠があるかと問われ、ロシアの領土は将来的に憲法に「さらに明記される」領土も含めて「国家の完全な保護下にある」と説明。軍事ドクトリンの核兵器使用に関する方針に言及し「ロシアの法律、ドクトリン、概念、戦略全てが全領土に適用される」と述べた。
プーチン大統領の盟友であるメドベージェフ前大統領も22日に戦略核兵器を含むあらゆる兵器を使用する可能性に言及している。
ウクライナのクレバ外相は25日、ラブロフ氏らの核兵器使用をにおわせる発言は「無責任」で「絶対に受け入れられない」と非難し、「ウクライナは屈しない。このような暴言は世界を危険にさらし容認できないと全ての核保有国が表明するよう求める」とツイッターに投稿した。
<対話再開のボールは西側に>
ラブロフ氏は、プーチン大統領が21日に発令した部分動員令を受けて国外に逃れる動きが多く見られていることについて聞かれ、移動の自由があると指摘した。
ロシアが北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を警戒し、かねて求めている安全保障上の保証について将来的に米国との協議が実現するかとの質問には、話し合いを打ち切ったのは西側諸国だと主張。
「われわれは接触にノーとは言っていない。そのような趣旨の提案があれば同意する。先方が水面下の協議を望んでいるなら、それでも良い。しかし現在の状況でロシアは最初の一歩を踏み出すつもりはない」と述べた。
ロシアのウクライナ侵攻直前に固い結束を示した中国は、欧米の対ロ制裁を批判しながらも、最近はやや距離を置く姿勢を見せる。今月のプーチン大統領と習近平国家主席の会談では、プーチン氏がウクライナ情勢を巡る中国側の疑問や懸念を理解していると配慮を示した。
ラブロフ氏は、中国から戦争を終わらせるよう圧力を受けているのかとの質問に「あなた方は、私が質問に答えることを避けたと読者に伝えるのだろう」と述べた。