[ロンドン 12日 ロイター] – トラス英首相は12日に議会で、ポンドや英国債の急落をもたらした大規模減税計画の撤回や歳出の削減はしないと述べた。

トラス氏は「中期的には債務が減少するようにする。それを歳出の削減でなく、財源の有効活用で達成する」と説明した。

市場混乱を受けてイングランド銀行(英中央銀行)は14日までの期間限定で英国債購入を実施している。この緊急措置には延長論も出ていたが、中銀は予定通り終了すると12日に確認。英国債は再び売られた。

支出水準の維持という方針に今もコミットしているかとの質問にトラス氏は「その通りだ」と答えた。

減税計画を巡っては、金持ち優遇と批判された所得税最高税率引き下げを撤回した。

先の保守党党首選でスナク前財務相を支持した議会財務特別委員会のメル・ストライド委員長は、市場を落ち着かせるには一段の政策修正が必要な可能性があると指摘した。

与党内では一部に慎重論があるものの、トラス政権の財政方針をおおむね支持している。景気後退になれば2024年に予定される次の選挙で勝てないというのが支持派の意見だ。イアン・ダンカン・スミス元党首は、リセッション(景気後退)はインフレ退治のため払う価値のある代償という論理や歳出削減論に同意しないとロイターに語った。