[アスタナ/モスクワ 14日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は14日、ロシアにはウクライナを破滅させる意図はなく、大部分の標的をすでに攻撃したため、ウクライナに対する新たな「大規模攻撃」の必要はもはやないと述べた。

プーチン氏は、カザフスタンの首都アスタナで開かれたアジア相互協力信頼醸成措置会議(CICA)後の記者会見で、予備役の部分動員を向こう2週間で終了させ、追加的な動員の計画はないと明らかにすると同時に、ロシアには協議を行う用意があると改めて表明した。ただ、ウクライナが協議に参加する場合は、国際的な調停が必要になると述べた。

ウクライナ侵攻開始から8カ月が経過し、ウクライナ軍の反転攻勢でロシア軍が後退を余儀なくされる中、プーチン氏の発言のトーンは若干和らいだようにみえる。

ただ、プーチン氏はこれまでにロシアの領土保全を守るために核兵器の使用も辞さない姿勢を表明。この日も、北大西洋条約機構(NATO)軍がロシア軍と直接衝突すれば「世界的な大惨事」になると警告した。

ウクライナ侵攻が計画通りに進まなかったことで、22年間にわたりロシアを率いてきたプーチン氏は危機に直面。ただ、後悔があるかとの質問に対しては、ウクライナに対する行動を起こさないのは悪いことだったと述べ、後悔は「ない」と回答。「現在起きていることは控えめに言っても不愉快だが、若干遅かったとしても、われわれにとって条件が悪いだけで、同様の事態になっていたはずだ。つまり、われわれは正しく、時宜を得た行動を起こしている」と述べた。

また、米国のバイデン大統領との会談は「必要ない」と表明。11月にインドネシア・バリで開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するかどうかはまだ決めていないと語った。

プーチン氏の発言を受け、地政学的な緊張が和らぐとの観測から米株価が上昇するなどの動きが出た。