韓国の検察は、おととし韓国の漁業指導船の乗組員が北朝鮮軍に射殺された事件をめぐって、当時のムン・ジェイン(文在寅)政権の国防相らが機密文書の隠蔽を指示していたなどとして、職権乱用などの疑いで逮捕しました。韓国メディアは、当時の政権の他の幹部にも捜査が及ぶという見通しを伝えています。
この事件は、おととし9月、朝鮮半島西側の黄海で、韓国海洋水産省に所属する漁業指導船の乗組員が北朝鮮軍に射殺されたものです。
韓国の海洋警察は、当初、この乗組員はみずからの意思で北朝鮮側に渡ろうとしたと説明していましたが、ことし6月の記者会見では、その根拠が見つからなかったと発表していました。
韓国の検察は、当時のムン・ジェイン政権の対応について捜査した結果、ソ・ウク(徐旭)国防相が乗組員に関する軍の情報を軍事機密のシステムから削除してうその情報を記載するよう指示していた疑いが強まったなどとして22日、ソ前国防相を職権乱用などの疑いで逮捕しました。
また、海洋警察の当時のトップも合わせて逮捕しました。
北朝鮮との関係悪化を懸念したムン前政権が組織的な隠蔽を図ったのではないかという批判が出ていて、韓国メディアは、当時の大統領府のソ・フン(徐薫)国家安保室長やパク・チウォン(朴智元)国家情報院長にも捜査が及ぶという見通しを伝えています。