米シンクタンク「戦争研究所」は21日、ロシアが一方的に「併合」を宣言したウクライナ南部ヘルソン州西部からロシア軍が撤退を開始したとの分析を発表した。同研究所の分析によると、ウクライナ軍からの情報で、ロシア軍はドニエプル川の西岸から東岸に向け、弾薬や装備品などを船で運搬している。ヘルソン州の親露派は19日以降、西岸の州都ヘルソンにある行政機能を東岸に退避させており、これに合わせた軍撤退の動きとみられる。
英国防省も22日、ロシア軍が、ドニエプル川にかかるウクライナ軍に攻撃された橋のそばに、仮設の橋を設置したとの分析を発表した。
戦争研究所によると、ロシア軍は前線に約2000人の兵士を配置し、ウクライナ軍への砲撃を続けており、撤退を隠す目的の可能性もあるという。
また同研究所はロシア軍が撤退後、同州のカホフカ水力発電所のダムを攻撃する可能性も指摘した。ウクライナに侵攻するロシア軍のスロビキン総司令官は18日、ウクライナ側が「ミサイルでダムを破壊する準備をしている」と主張しており、ダム破壊をウクライナ側の攻撃に見せかけるための下準備の可能性があるという。
ロシア軍は2月の侵攻開始後、ヘルソン州のほぼ全域を制圧したが、9月以降、ウクライナ軍が反転攻勢を強めている。親露派は地域住民をドニエプル川東岸や、ロシアに移動させている。【ブリュッセル宮川裕章】
関連情報
▽ロシア、ヘルソン市民に退避指示 東郊の部隊が撤退か<CNN日本語版>2022.10.23 Sun posted at 10:33 JST
▽ロシア軍攻撃で約150万戸が停電 ヘルソン州では退避呼びかけ<NHK>2022年10月23日 6時20分