[東京 11日 ロイター] – 政府は11日、次世代半導体の設計・製造基盤確立に向けた新戦略を発表し、トヨタ自動車やNTT、ソニーグループ、NECなどが出資して設立した「Rapidus」に700億円の研究開発予算を出すことを明らかにした。
西村康稔経済産業相が会見で明らかにした。
東大や東北大、産業技術総合研究所などが参画する量産技術の実現に向けた研究開発組織「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC:Leading-edge Semiconductor Technology Center)」も年内の設立を目指す。東京エレクトロンの東哲郎前社長が理事長に就任し、米国と合意した共同研究開発の中核的な役割を担う。アカデミア長には五神真東京大学大学院理学系研究科教授が就任する。
西村経産相は「デジタル化やAI(人工知能)、量子、今後期待される最先端の技術開発を支える中核のテクノロジー」と半導体の重要性を強調。経済安全保障にも言及した上で、「国内に半導体のサプライチェーン(供給網)を構築したい」と語った。
LSTCは主に先端設計、先端装置や素材の要素技術などの研究開発、Rapidusは量産基盤の構築をそれぞれ担う。Rapidusにはトヨタ自動車、NTT、ソニーグループ、NECのほか、キオクシアホールディングス、ソフトバンク、デンソーがそれぞれ10億円出資、三菱UFJ銀行も3億円出資している。
Rapidusは2020年代後半までに次世代の微細化技術を用いたロジック半導体「ビヨンド2ナノ」の量産を目指す。最先端半導体は近年で集積回路の高性能化が進んでおり、量産に向けて高度な生産技術が必要となる転換期を迎えている。米国、韓国、台湾に加え、欧州もドイツが米半導体大手インテルの工場を誘致するなど開発が加速する中、日本も半導体産業の復権を目指す。
11日午後に記者会見したRapidusの小池淳義社長は、先端半導体の分野で10年から20年の日本の遅れを取り戻すため、当初の5年間で米IBMを軸とする日米の連携で徹底的に勉強から始めると説明。27年をめどに次世代半導体の生産を始める考えを示した。