[東京 17日 ロイター] – 日本自動車工業会(自工会)は17日、来年5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)では、電気自動車(EV)だけでなく多様な選択肢でカーボンニュートラルの実現を目指す日本の方針に理解を求める方針を示した。政府税制調査会などで検討中のEVの走行距離課税については、EV普及の妨げになるほか国民的な議論も必要として「断固反対」(永塚誠一副会長)との考えを示した。
豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は、日本の自動車産業は世界に先駆けて低燃費技術や電動車の開発に取り組み、過去20年で国際的にも高い水準の二酸化炭素(CO2)削減を実現したと説明した。
その上で「EVも非常に重要な解決策の1つだが、唯一の選択肢にはならないのではないか。世界で戦っている自動車メーカーからみると、多様化した世の中には多様化した選択肢が必要だ」と指摘。サミットでは、日本はEVだけでなく、ハイブリッド車、燃料電池車(FCV)、水素や合成燃料を活用した内燃機関車など、あらゆる方法でカーボンニュートラルの実現を目指すことに世界各国の理解と協力を求めたいとした。特にアジア各国の賛同を得て「仲間づくりを実現する」(永塚副会長)という。
EV走行距離課税に関しては、電動化に伴う燃料税減収分を補う税収として議論されているが、永塚副会長は「政策的に現在はEVやFCVなど電動車の普及促進を図るべき時期で、EV走行距離課税の導入は電動車普及にブレーキをかけてしまう」と指摘。地方在住者や物流業者など移動距離の多いユーザーの税負担増加も大きな課題であり、「ユーザーの理解は到底得られず、納得できる国民的な議論を行うべき」で、議論のないまま導入することは「断固反対したい」と述べた。
期限切れを迎えるエコカー減税については「実質的な増税となる対象車両の絞り込みは行わず、現行制度のまま据え置きとして延長してほしい」と要望。半導体不足などで納期が半年以上と異例の状態となっている現状では、来年3月末でエコカー減税の対象車両が変更されると「購買意欲にも悪影響を与える可能性がある」と語った。