Ava Benny-Morrison

  • 銀行秘密法の順守が焦点となっていると関係者は説明
  • FTX破綻を受け、捜査は新たな領域に入ったという
The FTX logo on a smartphone arranged in Barcelona, Spain, on Tuesday, Nov. 15, 2022.  Photographer: Angel Garcia/Bloomberg

サム・バンクマンフリード氏が率いていた暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXの経営破綻の何カ月も前から、マンハッタンの連邦検察当局がFTXの捜査を開始していたことが、捜査に詳しい複数の関係者の話で分かった。

  それによれば、ダミアン・ウィリアムズ検事正率いるニューヨーク南部地区連邦地検は米国および外国を含め、複数の暗号資産プラットフォームの全面的な取り調べ作業に数カ月を費やすとともに、FTXの大規模な交換業への捜査を始めた。

ニューヨーク南部地区連邦地検のダミアン・ウィリアムズ検事正Photographer:Mark Kauzlarich/Bloomberg

  関係者の話では、銀行秘密法の順守が焦点となっている。金融機関にマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金を防ぐ対策を講じるよう義務付けるこの法律を用い、米当局は米国の顧客にサービスを提供していないと虚偽の報告をしていることが疑われる暗号資産プラットフォームを追跡してきた。

  バハマを拠点とするFTXは世界最大規模の国際的な暗号資産交換業に加え、銀行秘密法に順守しているとするもっと限定的なFTX・USを別途運営していた。

  マンハッタンの検察当局がFTX破綻の前に何らかの結論に達したかどうかは不明。破綻を受けて、連邦捜査は新たな局面に入ったと関係者は話した。

  連邦地検とFTXの担当者はいずれもコメントを控えた。

  FTXとグループ内のトレーディング会社アラメダ・リサーチとの多額の資金的結びつきが投資家の警戒を招き、グループの崩壊につながったが、FTXの乱雑に拡大した業務にそれ以前から疑念が生じていた様子が、何カ月も続いた捜査からうかがえる。

  FTXで顧客資金が不明となっている状況を受け、同社が保管方法を巡り顧客を欺いていなかったか捜査が行われることになろうと複数の元検事は話す。通信詐欺を立証するためには、FTXの誰かが電話や電子メール、テキストを使い利益を図ったことを捜査担当者が示す必要がある。

  元連邦検事で、現在は法律事務所クロウェル・アンド・モリング所属の弁護士、アナンド・シシアン氏は、FTXによる連邦破産法11条に基づく会社更生手続き申請について、どのような召喚対象の文書が存在するか検察当局が把握する助けになるとした上で、捜査担当者は関係者の証言に加え、従業員間の電子メールやスラック、シグナル、ワッツアップのやり取りの記録を求めるだろうと説明した。

原題:US Prosecutors Opened Probe of FTX Months Before Its Collapse(抜粋)