[台北 26日 ロイター] – 26日に投開票された台湾統一地方選は与党・民主進歩党(民進党)が敗北し、圧力を強める中国に結束を示す機会と訴えていた蔡英文総統は兼務する党主席(党首)の辞任を表明した。

最大野党の国民党は21の県・市長選のうち、台北を含む13ポストで優勢または勝利を宣言。民進党は5つのポストにとどまった。おおむね予想通りで、前回2018年の地方選と同様の結果となった。

自治体の首長が対中政策に直接的な影響力を持つことはなく、地方選挙は一般的に新型コロナウイルス対策や治安といった域内問題が争点となる。しかし、蔡総統は今回の選挙を地方選以上のものと位置付け、中国との軍事的緊張の中で台湾がどのように民主主義を守るかを世界が注視していると語っていた。

蔡氏は党本部で記者団に対し「結果はわれわれの期待通りではなかった。謙虚に結果を受け入れる」と語り、18年の選挙後と同様に党主席を辞した。

24年まで総統を続ける蔡氏は「われわれには後悔している暇はない。落ちても、また立ち上がる」と述べた。蘇貞昌行政院長(首相)から辞任の申し出があったものの、慰留したことも明らかにした。

一方、国民党の朱立倫主席(党首)は勝利を喜びつつ、台湾の自由を守るとも表明。記者団に「われわれは中華民国(台湾)を守り、民主主義と自由を守る」と述べ、地域の平和維持に尽力する意向を示した。

中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室は選挙結果について、台湾の主流世論が平和、安定、「良い生活」を求めていることを示しており、中国は台湾の人々と共に平和的関係を促進し、台湾の独立と外国の干渉に反対し続けると表明した。