[東京 8日 ロイター] – 東芝再建策で優先交渉権を得ている日本産業パートナーズ(JIP)が、非公開化に必要な融資の確保に向けて前進していることが分かった。金融機関側はJIPによる東芝再建案の具体性が増したと見ており、各行が負担割合を詰める段階に来ている。JIPは年内に結論を得たい考えだが、最終決定までにはなお時間がかかる可能性もある。東芝再建策で優先交渉権を得ている日本産業パートナーズ(JIP)が、非公開化に必要な融資の確保に向けて前進していることが分かった。写真は川崎市内で6月撮影。(2022年 ロイター/Issei Kato)

事情を知る関係者3人がロイターに明らかにした。

東芝に非公開化を提案しているJIPは、買収価格をおよそ2兆2000億円と想定。これに加えて買収後の運転資金なども調達する。オリックスやロームなど民間企業からの出資と銀行融資、優先株や劣後ローンなどで賄う計画をしている。

銀行融資を確保できるかが焦点になっていたが、関係者らによるとJIPと金融機関の協議が進展。銀行側はJIPが策定した再建策で融資を回収できるかどうか確信を持てないでいたが、交渉が進むにつれ疑念が解消されつつあるという。

「再建プランが見えつつある。そこは確かだ」と、関係者の1人は話す。関係者らは、各行の負担割合などの調整が残っていると説明する。

別の関係者によると、複数の外資プライベートエクイティファンドも資金の出し手として意欲をみせている。

JIPの広報担当者は「コメントすべきことはない」とした。三井住友銀行、みずほ銀行はそれぞれ「個別案件の質問には回答を控える」(広報)としている。

東芝は「公正なプロセス運営を損なう懸念があるため、共同投資家を含む候補者に関する情報は原則として回答できない」とした。

東芝はJIP陣営に対し、銀行が融資する意思を示したことを証明する「コミットメントレター」を11月7日までに提出するよう要請していたが、銀行側は十分な出資が確保できる見通しが立っていない現状では融資を決めることはできないと判断。コミットメントレターの提出には至っていなかった。

東芝は、コミットメントレターの受領を待って特別委員会がJIPの再建案を受け入れるかどうか正式に検討する。

東芝再建策を巡っては、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)も手を挙げていたが、東芝は10月、JIPに優先交渉権を与えた。前出とは別の複数の関係者によると、JIPは現経営陣を維持する案を東芝に提示した。

(編集:久保信博 石田仁志)