[12日 ロイター] – 電気自動車(EV)の戦略見直しを検討するトヨタ自動車が、来年の早いタイミングで新たな計画の大枠を取りまとめることが分かった。EV市場が想定以上のペースで拡大する中、コスト競争力と性能の向上を図り、米テスラ、中国BYDなどEV専業のトップメーカーを追撃する。事情を知る関係者2人が明らかにした。 

取りまとめるのは、トヨタが掲げる2030年までのEV戦略のうち、25年度までの3年間の計画。年明け以降、一次部品メーカーに見直し後の商品計画を説明する可能性がある。

トヨタは今回の見直しで、より先進的な技術を従来計画よりも前倒しで取り入れることを検討している。モーターなどの駆動装置のほか、電池に蓄えた電力を動力に変える電子制御、車内の熱管理技術への新技術導入が含まれる。対象となるのはEV用に開発したプラットフォーム(車台)「e-TNGA」を使ったモデルで、25年度までに投入する車両になる見通し。

一方、見直しの結果として25年度までの3年間に発売を計画していたモデルのうち、一部を26年度以降に遅らせる可能性もあるという。

トヨタは昨年12月に2030年までのEV戦略を発表し、30車種をそろえるとした。関係者らによると、戦略は3つの期間に分かれ、今回策定し直すのは23─25年度の第2段階。トヨタは22年度までの第1段階で、e-TNGAを使った「bZ4X」をすでに投入、さらに「レクサスRZ」の発売を計画している。

トヨタ広報はロイターの取材に対し、脱炭素化の実現には部品メーカーなどとの協力が不可欠で、関係各社と常にさまざまなテーマで協業しているとしつつ、個別の開発案件については公表している以上のことは開示できないとした。

ロイターは10月、トヨタがEV戦略の見直しを検討しており、30車種のうち一部モデルの開発をいったん止めたと報じた。関係者らによると、テスラがすでに黒字化を達成する中、トヨタはより競争力のある車両を開発する必要があるとみている。

アナリストらはテスラの1台当たりの利益について、7ー9月期はトヨタの8倍以上だったと試算している。トヨタの数字には内燃機関車とハイブリッド車も含まれる。

トヨタは今年の半ばに見直しに向けた非公式の検討チームを設置。技術開発トップなどを歴任した寺師茂樹エグゼクティブフェロー(67)が率いる同チームは、e-TNGAを今後も使い続けるか、新たな車台を開発すべきかどうかも検討している。

車台は自動車の基本的な骨格で、多額の開発費がかかることから競争力を左右する。トヨタは内燃機関車からEVへの移行にはしばらく時間がかかると予測し、ガソリン車やハイブリッド車と同じラインで生産できるようe-TNGAを設計した。