[ロンドン 15日 ロイター] – イングランド銀行(英中央銀行)は15日、3%の政策金利を0.5%ポイント引き上げ、2008年以来の高水準となる3.5%とした。物価や賃金に起因する国内インフレ圧力に対処するため「一段の利上げ」が必要になる可能性を表明した。中銀は声明で「労働市場は依然逼迫しており、国内の物価と賃金に関しインフレ圧力が一段と持続性を増していることを示す証拠が出ている。これはさらに強力な金融政策対応を正当化する」とした。

ただ11月の声明に盛り込んでいた、市場が期待する水準まで金利が上昇する必要はないとのガイダンスは、今回は入っていない。

ベイリー中銀総裁は記者団に対し、インフレ率が41年ぶりの高水準から低下し始める兆しが出ているものの、労働市場の引き締まりに起因する圧力を相殺するために、引き続き利上げが必要との見方を表明。「今週の指標でインフレが低下し始めている初期の兆候が示されただけでなく、われわれの予想よりもやや低かった。これは明らかに良いニュースだ」としたものの、「まだ長い道のりが残されている」と述べた。

今回の0.5%利上げは6対3で決定。マン委員が、11月に続き0.75%利上げを主張。一方、11月により小幅な利上げを提言していたテンレイロ委員とディングラ委員は、これまでの措置が「十分すぎるほど十分」だとし、利上げを完全に停止する時が来たと主張した。

経済成長については、今年第4・四半期が0.1%のマイナス成長と予想し、前回11月のマイナス0.3%から上方修正した。

また11月17日に発表された財政政策に関し、短期的な刺激措置が盛り込まれていることを踏まえ1年後の国内総生産(GDP)は前回予想から0.4%押し上げられると予想。ただその後は財政健全化措置が取られることから、2年後は前回予想とほぼ変わらずで3年後は0.5%下方修正されるとした。

ベイリー総裁は、今回の決定に伴うハント財務相宛ての書簡で、中銀の予測は国内インフレがピークに達したことを示唆するものとの見方を表明。英国立統計局(ONS)がこの日発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年比上昇率が10.7%で、41年ぶりの高水準だった10月の11.1%から予想以上に減速した。

インベステックのエコノミスト、フィリップ・ショー氏は「0.50%利上げは予想通りだったが、金融政策委員会内の意見の相違の大きさは予想外だった」とし、「サイクル終盤に政策当局者の意見が分かれるのはよくあることだが、見解の不一致があることで、政策金利がどこまで引き上げられるのか予測が難しくなる」と述べた。

KPMGのチーフエコノミスト、ヤエル・セルフィン氏は、政策金利は2023年上半期に4%でピークを付け、早ければ24年にも利下げが行われる可能性があるとの見方を示した。

米連邦準備理事会(FRB)は13─14日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.50%の利上げを決定。利上げ幅は過去4会合連続での0.75%から縮小した。欧州中央銀行(ECB)もこの日の理事会で0.50%の利上げを決定した。