[ロンドン 16日 ロイター] – 国際エネルギー機関(IEA)は16日、石炭に関する年次報告書を公表した。2022年の世界の石炭消費量は1.2%増加し初めて80億トンを超え、9年ぶりに過去最高を更新するとの見通しを示した。
石炭消費量は成熟市場で減少するが、アジア新興国では引き続き旺盛な需要が見込まれるとして、25年まで横ばいになると予想した。石炭が最大の二酸化炭素(CO2)排出源にとどまることになる。
石炭需要の最も大幅な伸びが見込まれるのはインドで7%増、欧州連合(EU)が6%、中国が0.4%となっている。
欧州ではロシアがガス供給を絞り価格が高騰したため石炭需要が増加した。しかしIEAによると、25年には欧州の石炭需要は今年の水準を下回る見込み。
世界の石炭火力発電量は今年、約10.3テラワット時と過去最高を記録し、石炭生産量も5.4%増の約83億トンと過去最高を更新すると予想されている。
生産量は来年ピークを迎え、25年には今年の水準を下回るとみられている。
最大の石炭生産国である中国、インド、インドネシアはいずれも今年、生産量が今年過去最大となる見込みだ。しかし輸出主導型の石炭プロジェクトに対する投資が急増する兆しはない。
IEAはこれについて、石炭の中長期的な見通しを巡って投資家や鉱山会社が慎重になっていることを反映していると分析した。