Denitsa Tsekova
- 資産配分の長期目標を満たすため、株式を売り債券保有増やす可能性
- GPIF、株式170億ドル相当の売却が必要に-JPモルガン試算
複数の世界最大級ファンドが、年内に合わせて最大1000億ドル(約13兆6700億円)相当の株式を売る見通しだ。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が雇用削減やリセッション(景気後退)のリスクを認識しながらも積極的な引き締め策を推し進める意向を明確に示していることから、株式市場では既に売りが膨らんでいるが、それに拍車を掛けることになる。
株式相場は先週、週間ベースで下落して終えたものの、10-12月(第4四半期)ではプラス圏を維持している。その結果、他の資産クラスと比べた株式のバリューが高まっており、資産配分ルールに厳密に従う運用者は目標を満たすため株売りを余儀なくされる。
JPモルガン・チェースとストーンXファイナンシャルによれば、この株売りで恩恵を受ける公算が大きいのは債券だ。政府系ファンド(SWF)や年金基金、バランス型ミューチュアルファンドが債券の保有増を検討するためだという。
JPモルガンの試算によれば、12月終了時点でSWFは約290億ドル相当の株式を売却している可能性がある。米国の確定給付年金は、長期目標を満たし9月時点の水準に戻すため、最大700億ドル相当を株式から債券に移す必要が生じそうだ。
ストーンXのマクロストラテジスト、ビンセント・デルアード氏はリバランスの一部は既に先週起きたと推測。「最近の株式相場の調整と債券上昇はリバランシングという仮説と整合的だ」と指摘。「投資家は目標に戻すため株を売り、債券を買わなければならなかった。この流れが年末まで続くことは理にかなっている」と述べた。
JPモルガンの試算によると、世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は資産配分目標に戻すため170億ドル相当の株式売却が必要になる。
GPIFの広報担当者にコメントを求める電子メールを業務時間外に送ったが、現時点で返答はない。
原題:Real-Money Funds Dump $100 Billion of Stocks on Rebalancing(抜粋)