[台北 26日 ロイター] – 台湾国防部(国防省)は26日、無人機(ドローン)を含む中国の空軍機71機が過去24時間に台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入したと発表した。台湾の中央通信社によると、中国軍機の侵入としては過去最多。ただ、台湾内で警戒は強まっていないという。このうち43機は台湾海峡の中間線を越えた。

中国軍は、25日に台湾周辺の海空域で複数の軍種による火力を用いた統合軍事演習を行ったと発表している。台湾と米国からの挑発への対抗措置だと主張した。

台湾は演習について、中国が地域の平和を破壊し、台湾の人々を威嚇しようとしていることを示すものだと指摘した。

台湾高官はロイターに対し、中国空軍が演習中、台湾と米国の軍艦に対する攻撃訓練を実施するため、国内の数カ所から軍用機を発進させたと明らかにした。

中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室からは今のところコメントを得られていない。

台湾総統府は、蔡英文総統が27日午前に高官級の安全保障会議を開き、民間防衛の強化について話し合う予定だと発表した。その後、新たな民間防衛措置について記者会見を開くという。

発表文に詳細は含まれていないが、国防部はこれまで、市民に課している軍事訓練義務を現在の4カ月間から延長する方向で検討していると明らかにしている。ロシアのウクライナ侵攻や中国との緊張の強まりを受けて中国からの軍事圧力への対応に関する議論が再び高まっている。

蔡総統は26日に開かれた軍の式典で「われわれの備えが万全であればあるほど、向こう見ずな侵略が試みられる可能性は低下する。われわれが結束を強めれば台湾はより強く、安全になる」と語った。

台湾国防部によると、戦闘機を中心に43機が台湾海峡の中間線を一時越えたほか、中国海軍の艦艇7隻が台湾の近くにいることが確認されたという。

また、中国軍の早期警戒機、電子戦機、対潜哨戒機、ドローンがADIZに侵入した。

台湾は軍用機を発進させて警告したほか、ミサイルシステムで中国軍機の活動を監視したと説明し、中国機侵入への対応に関する従来の表現を踏襲した。