- FRBのインフレ抑制策、「軽度の」景気後退より悪い状況招かず
- ドルは主要通貨に対し堅調へ、米金融当局がタカ派姿勢堅持で
米株式相場は2023年半ばまでに底入れし、米連邦準備制度理事会(FRB)は「軽度の」リセッション(景気後退)より悪い状況を招くことなくインフレを抑制する。ブラックストーン・グループのバイロン・ウィーン氏が毎年恒例の「びっくり10大予想」でこうしたシナリオを描いた。
ブラックストーンのプライベート・ウェルス・ソリューションズで副会長を務めるウィーン氏と最高投資ストラテジストのジョー・ザイドル氏は、米金融当局が利下げに方向転換せず、必要以上に長く引き締め領域を維持すると4日公表したリポートで予想。引き締めにより政策金利は消費者物価指数(CPI)上昇率を上回り、その結果として実質金利は過去10年では珍しかったプラス圏に浮上するとの見方を示した。
さらに、米金融当局が世界の中央銀行よりもタカ派姿勢を強めたままになるため、ドルはユーロや円といった主要通貨に対してアウトパフォームすると予測した。
両氏は「米金融当局はインフレとの綱引きを続けているため、『転換』という言葉は『一時的』という言葉と共に棚上げにされる」と指摘。「米金融引き締めにもかかわらず、相場は年央までに底入れし、2009年に匹敵する回復を見せ始める」と予想した。
ウィーン氏(89)は元モルガン・スタンレーのストラテジストで1986年以来「びっくり予想」リストを公表しており、同氏の経済や金融市場に関する評価は広くフォローされている。
「びっくり予想」リストは、一般投資家予想では発生確率が3分の1程度だが、ウィーン氏自身は5割を超えるとみる事象を集めたもの。
原題:Byron Wien Sees Market Bottom by Mid-Year, Positive Real Rates(抜粋)