[ワシントン 4日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)が4日公表した2022年12月13─14日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、インフレ抑制に向けた利上げを継続しつつも経済成長へのリスクを限定的とする方法で進められるよう、全ての参加者が積極的な利上げペースを緩める見解で一致していたことが分かった。

また議事要旨からは、FRB当局者が引き続き予想以上に上昇する恐れのあるインフレ制御に注力する姿勢と、金融市場においてFRBのインフレ抑制に向けた取り組みが後退しているという「誤解」が生じることへの懸念が示された。

12月の会合でFRBは0.5%の利上げを決定し、利上げ幅を4会合連続で続いた0.75%から圧縮した。短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は4.25─4.5%になった。

議事要旨は「23年中の利下げを想定する参加者は1人もいなかった」と明記している。ただ、市場やエコノミストの間では年内の利下げ観測が出ている。

キャピタル・エコノミクスの北米担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は「物価上昇率の急速な鈍化と雇用の顕著な伸び悩みにより、今年上期の状況はかなり劇的に変化する」と指摘。「第1・四半期にかけて50(ベーシスポイント)となる最後の引き締めが行われた後、FF金利は5%近辺でピークに達する。FRBが年末までに利下げを開始すると引き続き予想している」と述べた。

複数の参加者は過去1年でインフレ抑制のために十分な利上げに「著しい進展」があったとの認識も示した。その結果、FRBは物価上昇との闘いと、経済を過度に減速させて必要以上に高い失業率となり「最も脆弱な人々に最も大きな負担をかける」リスクとのバランスをとる必要が出ているとした。

議事要旨は「大部分の参加者は政策をより制約的なスタンスに移行する際に柔軟性と選択性を保つ必要性を強調した」とも表明。23年1月31日─2月1日のFOMCで0.25%ポイントの利上げに縮小する準備があるかもしれないものの、高いインフレが続く場合は予想よりもさらに高いターミナルレート(利上げの最終到達点)を受け入れる余地もあることを示唆した。

議事要旨は「参加者はインフレ率を(連邦公開市場)委員会の目標である2%に戻すという強いコミットメントを再確認した」とし、「複数の参加者が利上げペースの鈍化が物価安定目標達成に向けた委員会の決意の弱まりを示すものではないことを明確に伝えることが重要だと強調した」と記した。

また、議事要旨によると「23年にFF金利の目標を引き下げ始めることが適切であると予想する参加者はいなかった」という。

それでも一部の参加者にとって経済成長に対するリスクはより切迫したものになり、FRBのスタッフは景気後退が向こう1年に「可能性として考えられる」と示唆した。

FRBが1980年代以来の速いペースで金融引き締めを進めている中で、多くの参加者は現在のインフレとの闘いと、「必要以上に制約的になりかねない」過度な政策となる可能性とのバランスを取る必要が出ていると強調した。