[北京 5日 ロイター] – 中国とフィリピンは5日、中国の習近平国家主席とフィリピンのマルコス大統領が4日に北京で行った首脳会談を受けて共同声明を発表した。南シナ海問題の平和的解決に向け、外交当局間での直接対話の枠組みを創設することで合意した。
両国は2016年にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が下した南シナ海における中国の領有権の主張を否定する判決を受けて悪化した関係の修復に努めており、安全保障上の緊張緩和や経済協力推進に向けた14の合意事項を含む共同声明を発表した。
声明によると、両国は互いの主権と領土保全を尊重することを再確認した。南シナ海での石油とガスの探査に関する協議を再開し、太陽光、風力、電気自動車、原子力などの分野での協力について話し合うことでも合意した。
沿岸警備担当者が「できるだけ早期に」会談し「現実的な協力」について協議するとした。
ロケットを発射する際は相互に通知し、残骸の回収で協力することを検討する。南シナ海に落下した中国のロケットの残骸を昨年11月にフィリピンの船が回収しようとしたところ、中国海警局の船が阻止したとされる。
両国は南シナ海の平和と安定、航行と飛行の自由を維持することの重要性を再確認した。安全保障に関する対話を毎年開催することを決めた。
経済分野における協力では、中国がフィリピンからの輸入を拡大し、新型コロナウイルス前の水準以上に増やす。観光客や両国首都間の航空便もコロナ禍前の水準に戻すことを目指す。
新型コロナのワクチン調達でも協力するほか、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する新たな覚書を交わした。
フィリピン政府報道官は声明で、中国の投資家はマルコス氏との会合後、228億ドル規模の投資を約束したと明らかにした。
投資の内容は太陽光と風力を中心とした再生可能エネルギーに137億6000万ドル、電気自動車や鉱物加工などに73億ドル、農業関連に17億ドルとなっている。
マルコス氏は中国を発つ前に企業幹部らに、フィリピン国内での事業活動を支援することを約束すると述べた。