[ワシントン 6日 ロイター] – 米労働省が6日発表した2022年12月の雇用統計で、非農業部門雇用者数は22万3000人増えた。堅調な雇用の伸びを維持し、失業率も3.5%に改善した。ただ、米連邦準備理事会(FRB)のインフレ抑制に向けた利上げで、23年半ばまでに労働市場の勢いが著しく鈍化する可能性がある
22年11月分の雇用者数は25万6000人増に下方改定された。前回発表は26万3000人増だった。
ロイターがまとめた12月の非農業部門雇用者数のエコノミスト予想は20万人増で、13万人から35万人まで幅があった。
失業率は3.5%と、11月の3.6%から改善した。政府は失業率を算出する家計調査の季節調整済みデータを過去5年分修正した。
12月の時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇。11月は0.4%上がっていた。12月の賃金上昇率は前年同月比4.6%と、11月の4.8%から低下し、21年8月以来の低い伸びとなった。
BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「労働市場は引き続き底堅いものの、活力を失いつつあり、労働者不足は依然深刻」と指摘。「賃金の伸びは鈍化したが、物価安定と一致する水準にはほど遠い。FRBが2月の会合でタカ派姿勢を和らげる、もしくは利上げペースを緩めることは期待できないだろう」と述べた。
スパウティングロック・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、リース・ウィリアムズ氏は「賃金の伸びは21年12月の水準を依然として4.1%ほど上回っている」と指摘。「トレンドは正しい方向に向かっているが、FRBが近く『任務完了』を宣言するとは思わない」と述べた。
22年通年としては、雇用は450万人増加。月間では平均37万5000人増だった。
バイデン米大統領は「着実かつ安定した成長への移行」を示しているとし、雇用統計の結果を歓迎した。
12月は業種別では、レジャー・接客が6万7000人増で、全体の伸びを主導。レストランやバー、遊園地、レクリエーション関連が増加の大部分を占めた。ただ、レジャー・接客業の雇用はなお、コロナ禍前の水準を93万2000人下回っている。
ヘルスケアは5万5000人増、低調な住宅市場の状況にもかかわらず、建設も2万8000人増加した。製造は8000人増、運輸・倉庫や小売も増加した。
政府は3000人増。しかし、カリフォルニア州の大学職員3万6000人によるストライキが響き、州政府の教育関係では2万4000人減少した。
半面、専門職・ビジネスサービスは減少。将来の雇用の指標とされる派遣などの臨時雇用も3万5000人減少した。臨時雇用は7月以降、11万1000人減少している。
平均週間労働時間は34.3時間と、11月の34.4時間から減少し、20年4月以降で最低となった。一部のエコノミストは、労働市場が後退し始めている兆候との見方を示す。
また、家計調査に基づく12月の雇用は71万7000人増加した。人口に占める雇用者の比率は60.1%と、11月の59.9%から上昇。現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率は6.5%と、前月の6.7%から改善した。
労働省が今月4日発表した22年11月末の求人件数は1045万8000件だった。