[アムステルダム/ワシントン/北京 9日 ロイター] – オランダ政府は8日、国家安全保障の観点から先端的な半導体技術の新たな輸出規制を計画していると明らかにした。米国の中国に対する半導体輸出規制に呼応する形だ。

米政府は昨年10月、米国製半導体製造装置の中国向け輸出を巡る包括的な規制措置を導入した。主要な製造装置メーカーを擁するオランダと日本にも足並みをそろえるよう要請、3カ国は1月に対中輸出規制で合意したと報じられた。

こうした中でオランダのスフライネマッハー貿易相は議会宛て書簡で、夏の前には新たな輸出規制を実施する意向を表明した。書簡は規制相手として中国、また規制対象となる半導体製造装置のメーカーである同国のASMLホールディングには直接言及していないが、ASMLが半導体メーカーに販売している深紫外線(DUV)露光装置に関する技術が影響を受けると説明している。

スフライネマッハー氏は「オランダはこの技術を最大限迅速に監視することが国家安全保障上必要と考えているので、内閣は国家管理リストを導入する」と述べた。

ASMLによると、DUV露光装置の最も先端的な部分について今後は輸出許可を申請しなければならなくなるだろうが、今年の業績見通しには影響ないという。

同社は今年の中国販売がほぼ横ばいの22億ユーロになると見込んでおり、全体の25%増収予想を踏まえると中国の占める割合は低下することになる。

ASMLはDUVよりも高度な極端紫外線(EUV)露光装置を中国に輸出したことはなく、DUV装置の中国顧客は大半がそれほど高度ではない半導体を製造している。

ASMLは2014年以降、中国で80億ユーロ(84億4000万ドル)強のDUV露光装置を販売しており、これらの製品へのサービスが輸出規制の影響を受けるかどうかは不明。

西村康稔経済産業相は9日、半導体の対中輸出規制に関連して、安全保障の観点から輸出管理の不断の見直しが必要との認識を示す一方、半導体製造装置について現時点で何らかの方針を決定した事実はないと語った。

9日の定例会見でオランダ政府の計画について質問された中国外務省の毛寧報道官は、オランダに抗議したと発言。

「中国・オランダ企業の通常の経済・貿易交流を行政手段を通じて制限するオランダ政府に断固として反対する」と述べた。

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▽半導体輸出規制、オランダの動向踏まえ対応を検討=西村経産相<ロイター日本語版>2023年3月10日8:48 午前