[フィラデルフィア 9日 ロイター] – バイデン米大統領は9日、大統領選の激戦州である東部ペンシルベニア州を訪問し、2024会計年度(23年10月─24年9月)の予算教書を発表した。歳出総額は6兆8000億ドルで、今会計年度見通しの6兆2000億ドルから増加する見込み。

予算教書には、中国に対抗するためインド太平洋地域の経済強化やパートナー国支援に向け20億ドルの支出要求が盛り込まれた。ロシアによるウクライナ侵攻などを踏まえ、国防費は前年度比3.2%増の8860億ドルを要求した。

年収40万ドル以上の富裕層に対する増税や、トランプ前大統領の下で17年に制定された法人税減税を一部廃止することなどで、今後10年間で財政赤字を3兆ドル近く削減する計画。

経済成長率見通しは1.5%、失業率は4.6%、消費者物価上昇率は2.4%との予測に基づいている。

<債務上限問題>

バイデン氏は同州のブルーカラー労働者を前に演説し、「あまりにも長い間、働く人々は粉骨砕身してきた。トップに立つ人々が何でも持ち逃げする一方、あなた方のような働く人々を経済が置き去りにしてきた」と語りかけた。ブルーカラー層は20年の大統領選挙でも同氏のターゲットとなっていた。

大統領の予算案は、下院で主導権を握る野党・共和党の激しい反対に遭うとみられ、この通りに予算が成立する可能性は低い。

しかし、債務上限引き上げ問題を巡り、共和党のマッカーシー下院議長に対する政治声明でもある。マッカーシー氏は、バイデン氏が歳出抑制に同意することが債務上限引き上げの条件との立場を取っている。

バイデン氏は「彼(マッカーシー氏)に自身の予算案があるなら、明日にでも会う用意があると明確にしたい。何がやりたいのか教えてほしい。私がやりたいことを示し、何が合意できるか確認しよう」と訴えた。

マッカーシー氏をはじめとする共和党議員らは9日、大統領の予算案を批判。「バイデン大統領の予算は、記録的なインフレと現在の債務危機を招いた『極左』の歳出政策を強化する無謀な案だ」と評した。

<キャピタルゲイン増税>

ホワイトハウスによると、大統領は富裕層に25%の最低税率を課し、キャピタルゲイン税率を20%からほぼ倍増させることで、支出増と赤字縮小の財源を確保しようとしている。

また、1%の自社株買い税率を4倍にすることも望んでいる。

予算教書は、バイデン氏が増税やコスト削減措置の要望を実現できたとしても、今後10年間は毎年1兆ドル以上の赤字を予想。米国の債務総額は33年に年間国内総生産(GDP)の110%近くまで上昇する見通しで、これは第2次世界大戦の動員時のピークに匹敵する。

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▽米予算教書、中国対抗策に数十億ドル要求 友好国のインフラ支援<ロイター日本語版>2023年3月10日8:53 午前