[ワシントン 10日 ロイター] – 米労働省が10日発表した2月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は31万1000人増加し、市場予想を上回る伸びとなり、雇用の堅調さを改めて示した。同時に、失業率は上昇し、賃金の前月比伸び率が鈍化するなど、労働市場が軟化しつつある兆候も示唆し、米連邦準備理事会(FRB)が月内の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を0.5%ポイントに拡大するという観測が後退した。

ロイターがまとめた市場予想は20万5000人増加だった。市場予想は7万8000人増から32万5000人増まで幅があった。

1月分は51万7000人増から50万4000人増に下方改定された。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サール・グアティエリ氏は「経済の勢いは従来の想定よりも若干強く、企業が引き続き採用に意欲的であることを示唆した。FRBが確認したくない内容だろう」と指摘。同時に「低調な項目が全体の内容を相殺したことを踏まえ、次回FOMCでの利上げ幅を0.25%ポイントでなく、0.5%ポイントとする決定は、来週発表される米消費者物価指数(CPI)に左右される公算が大きい」と述べた。

CMEグループのフェドウォッチによると、雇用統計を受け、金融市場では次回会合で0.25%ポイント利上げが実施される可能性が高いという観測が強まった。統計発表前は0.5%ポイント利上げの可能性を織り込んでいた。

2月は業種別では、レジャー・接客が10万5000人増で、全体の伸びを主導。レストランとバーが増加の大部分を占めた。しかしレジャー・接客業の雇用は依然、コロナ禍前の水準を41万人下回る水準にとどまっている。

小売は5万人強、政府は4万6000人、専門・ビジネスサービスは4万5000人、ヘルスケアは4万4000人それぞれ増加。建設も2万4000人増加する一方、製造は4000人減少した。

また、情報は2万5000人減、運輸・倉庫業も約2万2000人減となった。

時間当たり平均賃金は0.2%上昇。1月は0.3%上昇していた。前年同月比は4.6%上昇。1月は4.4%上昇だった。

失業率は3.6%で、1969年5月以来の低水準だった前月の3.4%から上昇した。

労働参加率は62.5%と、前月の62.4%から上昇した。

一方、現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は1月時点で6.6%。これは就業可能者が1090万人と1月末の求人件数1080万件を上回り、労働市場が均衡していることを示唆する。

2月のU6失業率は6.8%だった。

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