• 大手銀のファースト・リパブリック支援、ECB利上げ
  • クレディ・スイス救済、米経済指標、BTFPの規模
A Wall Street street sign in front of the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., on Monday, Sept. 20, 2021.  Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

米連邦準備制度理事会(FRB)が12日に打ち出した新たな貸し出しプログラムに加え、この日は米政府の仲立ちで大手銀行がファースト・リパブリック・バンクを支援する計画がまとまりました。官民挙げての対策を受け、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるCBOEのボラティリティー指数(VIX)は前週末の水準にまで低下。欧州中央銀行(ECB)と同様、米連邦公開市場委員会(FOMC)も利上げを継続できる状況が整いつつあるようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

大手銀が支援

ファースト・リパブリックの株価が36%の急落から反転、一時28%を超える上昇となった。米政府の調停で、複数の大手銀行が合計で約300億ドル(約4兆円)を同行に預け入れることで合意した。参加する銀行にはJPモルガン・チェースやシティグループ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、モルガン・スタンレーなどが含まれる。ファースト・リパブリックはプライベートバンキングとウェルスマネジメントに特化し、破綻したシリコンバレー銀行(SVB)とは一線を画すと主張してきた。

計画通り

ECBは中銀預金金利を0.5ポイント引き上げ3%に設定。前回会合以降に当局者が示唆し続けた通りで、大半のエコノミスト予想にも一致した。ただ、クレディ・スイス・グループを脅かしている銀行業界の混乱を背景に、今後の金利の軌道を示唆する文言は声明から取り除かれた。ラガルド総裁は記者会見で、将来の金利の軌道を「現時点で決定することは不可能だ」と述べた。ロイター通信によると、クレディ・スイスがスイス国立銀行(中央銀行)の支援を確保したことが分かってようやく、ECBは今回の0.5ポイント利上げを決定した。もう一つの選択肢は利上げ見送りで、0.25ポイント利上げは議論されなかったという。

くすぶる懸念

クレディ・スイスはスイス国立銀行から500億スイス・フラン(約7兆1500億円)の与信枠を確保した。最大約30億フラン相当のドルおよびユーロ建ての社債を公開市場で買い戻す計画も明らかにし、投資家の信頼感回復を目指している。クレディ・スイス株は一時40%高と急騰したが、その後に上昇幅を縮めた。アナリストは中銀による支援策の発表などでクレディ・スイスがどの程度の時間を稼げるかを疑問視し始めた。スイス政府は同行の状況を協議するため16日に臨時閣議を開催する予定。

好調な米経済指標

先週の米新規失業保険申請は前週比2万件減の19万2000件と、昨年7月以来の大幅な減少となり、急増した前週から反転した。特にニューヨーク州での減少が目立った。今回のデータからは力強い雇用創出と大量の求人、低失業率といった極端にタイトな労働市場が浮かび上がる。しかし賃金の伸びを示す指標の複数で減速が示唆され、総じてインフレのペースに追いついていないため、今後支出を抑え始める可能性がある。2月の米新築住宅着工件数は6カ月ぶりに増加に転じた。集合住宅での着工急増が寄与。住宅市場が安定し始めている可能性が示唆された。

注入規模

FRBが新たに設定した「バンク・ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)」を通じて金融システムに最終的に注入される追加資金の規模に注目が集まっている。JPモルガン・チェースのアナリストは最大で2兆ドル(約270兆円)と推計しているが、保険で守られていない預金の比率が最も高い米銀6行の預金額に基づいたもので、実際には4600億ドル前後になるとみている。それでも、FRBの別のファシリティーであるディスカウント・ウィンドウ(連銀窓口貸し出し)のこれまでの利用規模と比べると、格段に大きい。

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