- JPモルガンやシティなどは50億ドルずつを預け入れ
- ゴールドマンやモルガン・スタンレーは25億ドルずつ
米銀ファースト・リパブリック・バンクの財務安定化を図る米政府の調停で、複数の大手銀行が合計で約300億ドル(約4兆円)を同行に預け入れることで合意した。預金者が地銀で取り付け騒動を起こすなど金融システムを揺るがしかねない事態の収束を図る。
参加する銀行にはJPモルガン・チェースやシティグループ、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、モルガン・スタンレー、USバンコープ、トゥルイスト・ファイナンシャル、PNCファイナンシャル・サービシズ・グループが含まれる。
ファースト・リパブリックに預金を預け入れる銀行 | 預金額 |
---|---|
JPモルガン、BofA、シティ、ウェルズ・ファーゴ | 50億ドル |
ゴールドマン、モルガン・スタンレー | 25億ドル |
PNC、BNYメロン、トゥルイスト、USバンコープ、ステート・ストリート | 10億ドル |
発表文は「米国の大手銀行が起こした今回の行動は、ファースト・リパブリックとあらゆる規模の米銀への信頼を反映したものだ」としている。
複数の大手銀行によるファースト・リパブリックへの預け入れ合意ついて、連邦準備制度理事会(FRB)と財務省、連邦預金保険公社(FDIC)、通貨監督庁(OCC)は歓迎の意を示した。
これら銀行監督規制当局のトップは16日、「大手銀行グループによる今回の支援表明は最も歓迎すべきもので、銀行システムの強靭(きょうじん)さを示すものだ」との共同声明を発表した。
FRBは「対象となる全ての機関に連銀窓口貸出制度を通じて流動性を提供する用意がある」と表明した。
ブルームバーグ・ニュースは前日、ファースト・リパブリックが自社の売却を含む戦略的選択肢を模索していると報じていた。この1週間でシリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャー・バンクが相次いで当局の管理下に入り、ファースト・リパブリック株はその余波で大きく下げていた。
16日の米株式市場でファースト・リパブリックは一時36%急落。その後、支援策がまとまりつつあることが明らかになると上昇に転じ、28%高まで買い進まれた。この日はボラティリティー(変動性)のため複数回にわたり売買が停止された。
同行の株価は10%高で終了後、配当を一時停止して借り入れ削減に重点的に取り組むとの発表を受けて、通常取引終了後の時間外取引で一時29%下げた。
プライベートバンキングに特化し、資産2710億ドルのウェルスマネジメント事業を築いたファースト・リパブリックは、破綻したシリコンバレー銀行(SVB)とは一線を画すと主張してきた。
同行は現在の難局を切り抜けようと、早い段階からJPモルガンと取り組んでいた。シグネチャー・バンクが当局の管理下に置かれた12日、ファースト・リパブリックは米連邦準備制度やJPモルガンなどとの取り決めを通じ、700億ドル余りの未使用の流動性を確保したことを明らかにしていた。
原題:First Republic Shares Drop Anew as Bank Stock Tumult Drags On
First Republic Gets $30 Billion of Fresh Deposits in Bank Rescue
Treasury, Fed, FDIC Say First Republic Deposits Show Resilience(抜粋)