[ソウル 20日 ロイター] – 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は米軍と韓国軍による攻撃に対し核による反撃を想定した軍事演習を視察した。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が20日に伝えた。
KCNAは18─19日の演習について、北朝鮮の「戦争抑止力と核反撃能力」を強化するためのものだとし、米韓は北朝鮮に対し「戦争を仕掛けようとする露骨な試み」を行っていると非難した。
「実際の戦争に対応するためのわれわれの強い意志を示し、侵略のための軍事演習を拡大する敵に強力な警告を発することもこの演習の目的だ」と指摘した。
KCNAは、この演習では戦術核攻撃のシナリオの下、模擬核弾頭を搭載した弾道ミサイルが800キロ飛行し、高度800メートルの標的に命中したとしている。
KCNAが掲載した写真によると、金総書記は幼い娘を同伴して実験に立ち会った。
アナリストによると、写真は短距離弾道ミサイル(SRBM)「KN23」を発射したことを示唆しているが、過去の発射と異なり固定式のミサイル格納施設(サイロ)が用いられた可能性がある。
峨山政策研究院の梁旭研究委員は「北朝鮮はこれまでSRBMも巨大な長距離弾道ミサイル(ICBM)も全て移動式の発射装置を使用してきた。だが道路やシステムの条件が悪いため、実際の運用時にミサイルの安定性を確保するのは難しかった」と指摘。「今回はサイロに格納した火星17のような大型ミサイル発射のためのテストだったかもしれない」と分析した。
韓国国防省の報道官は北朝鮮が核開発で著しい技術的進歩を遂げていると述べたが、詳細な説明は控えた。
<核抑止力>
金総書記は今回の演習について、軍の実戦能力を高め、こうした訓練を通じて「即時かつ圧倒的な核反撃」の準備態勢を確保する必要性を強調したと指摘。
「敵が北朝鮮に対する侵略の動きをますます顕著にしている現在の状況では、核戦争抑止力の飛躍的な強化が急務だ」と述べた。
また「北朝鮮の核戦力は高い戦争準備能力で敵の無謀な動きや挑発を強く抑止、制御、管理し、望まない事態が起きてもためらいなく重要な任務を遂行するだろう」と語った。
米韓の海軍と海兵隊は20日から4月3日までの2週間、5年ぶりに大規模な上陸演習を開始する。
KCNAはまた、北朝鮮の国民140万人超が米韓に対抗するために軍への入隊や再入隊を志願していると伝えた。2日前に国営紙が伝えた約80万人を上回る。