[アンカラ 22日 ロイター] – トルコ少数民族クルド人系野党の国民民主主義党(HDP)は22日、大統領選(5月14日)に独自候補を擁立しない方針を表明した。長期にわたり政権を握る強権的なエルドアン大統領への対抗馬として、他の野党6党が統一候補に押し立てたケマル・クルチダルオール氏にとっては追い風となりそうだ。
最近の世論調査によると、最大野党で中道左派の共和人民党(CHP)党首を務めるクルチダルオール氏の支持率はエルドアン氏を上回っている。
ただ大統領選で野党候補が50%超の票を得られるかどうかはHDPの動向に左右される部分が大きい。HDPは現在の議会で3番目に大きな勢力で、支持率は10%強あるだけに、大統領選と同時に実施される議会選でも野党側の過半数確保の鍵を握る。2019年に行われた地方選ではHDPの協力を受けた野党勢力が、主要都市の首長選で与党公正発展党(AKP)候補に勝利した。
HDPのペルビン・ブルダン共同党首はクルチダルオール氏支持を明言しなかったが、元共同党首で16年から投獄されているセラハティン・デミルタシュ氏はクルチダルオール氏を応援する姿勢を示している。
またHDPは、議会選に向けて活動停止命令が出される事態を回避するため、「緑の左派党」の名称で選挙戦に入るとも明らかにした。
トルコの憲法裁判所は、検察庁からのHDPの解党の申し立てについて現在審議中。エルドアン政権は、テロ組織とみなす反政府武装組織のクルド労働者党(PKK)とHDPがつながっていると主張して活動禁止を求めている。