[東京 5日 ロイター] – 政府は5日に国家安全保障会議(NSC)を開き、同志国に防衛装備品などを供与する新制度「政府安全保障能力強化支援」(OSA)の実施方針を決めた。政府開発援助(ODA)とは別の無償による資金協力の枠組みで、相手国の軍の能力向上を支援する。
今年度はフィリピンやマレーシア、バングラデシュ、フィジーの4カ国を対象に検討する。警戒監視や情報収集に必要な衛星通信システムやレーダーなどの供与を想定している。
松野博一官房長官は5日午前の記者会見で、日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっていると説明。一方的な現状変更を抑止し、特にインド太平洋地域の平和と安定を確保し、望ましい安保環境を創出するには、日本の防衛力強化に加えて「同志国の抑止力を向上させることが不可欠だ」と語った。
民主主義や法の支配といった価値観を共有する国の軍に装備や資機材を供与するほか、インフラ整備を支援する。ODAは非軍事分野の協力に限っていることから、昨年末にまとめた防衛3文書に軍の支援を可能にする枠組みの創設を明記していた。
具体的な運用では、1)防衛装備移転3原則などの枠内、2)国際紛争との直接の関連が想定しにくい分野に限定、3)国連憲章の目的・原則との整合性を確保──して支援する。
現在の3原則は輸出できる装備品を救難・輸送・警戒・監視・掃海に限定しており、殺傷能力のあるものの移転は想定していない。装備移転協定を個別に結んでいない国へも輸出ができない。政府はこれを緩和する方針で、運用指針を見直すことを検討している。