- ベージュブック、リセッションなら米株は底割れ
- モルガン・スタンレー決算、英CPI、テスラ値下げ
シリコンバレー銀行(SVB)破綻後、初めての米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表され、経済活動が足踏み状態にあるとの見解が示されました。今後は景気が再び活発化し、一部の地区連銀総裁が言うようにリセッション(景気後退)を回避できるのか。それとも連邦準備制度理事会(FRB)スタッフが予想するようにリセッションに陥るのか。持ち直してきている米国株にとっても、重大な局面を迎えようとしています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
足踏み状態
FRBは19日公表したベージュブックで、経済活動がここ数週間は足踏み状態にあるとの認識を示した。雇用とインフレは減速し、与信が減ったとも指摘した。ベージュブックでは「全体的な経済活動はここ数週間にほとんど変わらなかった」とされ、「不確実性の高まりと流動性を巡る懸念を背景に、銀行が融資基準を厳格化したと指摘する地区連銀が数行あった」と記述された。
時間の問題
米国株はリセッションを切り抜けると予想する強気派の大合唱は、歴史を指針とするなら、間違いのようだ。楽観主義者は株式相場について、2022年に今サイクルの安値を付けており、今年あるいは来年早期の景気縮小は株価持ち直しを鈍らせるだけだという。しかし、1929年以降に米国が陥ったリセッション全てに目を向けると、株式相場の急落は起きるかどうかではなく、いつ起きるかが問題だということが示唆される。過去約100年に、景気が縮小局面に入った後で新たな底値を付けるのを回避した例は一度もない。
貸倒引当金が急増
米銀モルガン・スタンレーの1-3月(第1四半期)は、ウェルスマネジメント部門の収入が市場予想を上回った。一方、ディールメーキング低迷と貸倒引当金の急増で、純利益は減少した。純利益は前年同期比20%減の28億4000万ドル(約3820億円)。投資銀行部門は、債券トレーディングとM&A(企業の合併・買収)助言収入がアナリスト予想を若干上回り、落ち込みを抑えた。貸倒引当金は2億3400万ドルと前年同期の4倍に増えた。商業用不動産とマクロ経済見通し悪化に関連した引き当てが中心。
3月も2桁台
英消費者物価指数(CPI)は3月に前年同月比10.1%上昇と、依然として2桁台。エコノミスト予想の9.8%上昇を上回る伸びで、同国中銀が追加利上げを行う根拠を強めそうだ。特に食品は約40年ぶりの大幅な上昇。コアインフレ率も6.2%と、前月と変わらなかった。みずほインターナショナルのエブリン・ゴメスリヒティ氏は「今回のデータは、英中銀に明らかなメッセージを突きつけている。利上げ停止にはまだ早い、ということだ」と述べた。
大幅値下げ
米テスラは過去3カ月余りの間に人気車種の最低価格を大幅に引き下げている。最も人気の高いスポーツ型多目的車(SUV)「モデルY」では30%近い引き下げとなっており、同社としては前例のない値下げの動きだ。「モデルY」は最低価格で4万6990ドル(約630万円)と、1月半ばから29%値下がり。セダン「モデル3」の価格は数年ぶりに4万ドルを切っている。通常取引終了後に同社が発表した1-3月決算では、調整後1株当たり利益が85セントと、市場予想の86セントを下回った。売上高は24%増だったが、同じく市場予想に届かなかった。
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