【シドニー時事】南太平洋の島国クック諸島の議会はこのほど、同性愛行為への禁錮刑を定めた条項を廃止する刑法改正案を可決した。6月1日から施行する。LGBTなど性的少数者の人権に配慮したもので、ブラウン首相は「歴史的だ。性的少数者への差別と決別する」と強調している。
1969年制定の同国刑法は、男性同士の「みだらな行為」に最大禁錮5年、そうした行為の機会を敷地内で提供した場合に最大禁錮10年を科すと定めていた。かつて同国に入植した英国のキリスト教宣教団の保守的価値観の名残とされ、実際に立件された例はない。
差別的と批判を受け、議会は2019年に見直しを検討したが、逆に女性同士の行為も犯罪化する案が浮上。これが国民の反発を招いたため、22年の総選挙で主要政党が一斉に同性愛罪の廃止を公約し、今月14日に改正案が可決された。強制的なわいせつ行為は引き続き罪となる。
英人権団体「ヒューマン・ディグニティー・トラスト」によると、クック諸島以外にも世界で66カ国が同性愛を犯罪と規定。この中には太平洋島しょ国のキリバス、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバルの6カ国が含まれる。