[2日 ロイター] – 人工知能(AI)研究の第一人者として知られるジェフリー・ヒントン氏は、想定より遥かに速くAIが人間よりも賢くなる可能性があると気づき、AIの危険性について自由に話すために米アルファベット傘下のグーグルを退社したと語った。
ヒントン氏は「グーグルにどのような影響を及ぼすかを考えずに、AIの危険性について語ることができるようにするために退職した」とツイッターに投稿した。
これに先立ち、ヒントン氏は米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のインタビューで、AIが説得力のある偽の画像や文章を作成する能力を持ち「何が真実なのか分からなくなる」世界を作り出すことを懸念しているとし、「悪用をどのように防げばいいのか見当がつかない」と述べていた。
その上で「AIが実際に人間よりも賢くなるという考えは一部の人の間で信じられていたが、大部分の人は遠い未来の話だと考えていた。私自身も30年、もしくは50年以上先の話だと思っていた。今はそのように考えていない」と語った。
ツイッターへの投稿で、グーグルはAIへの対応で「責任を持って行動した」とし、グーグルを批判するために退職したわけではないと説明した。
ロイターはグーグルにコメントを求めたが、今のところコメントは得られていない。
米マイクロソフトがバックアップする米新興企業オープンAIが昨年11月に対話型生成AI「チャットGPT」をリリースして以来、多くの生成AIアプリケーションがリリースされ、将来的な規制などを巡る懸念が高まっている。
オックスフォード大学のAI倫理研究所のカリッサ・ベリズ准教授は「これほど多くの専門家がAIの安全性に関する懸念を表明し、一部のコンピュータ・サイエンティストが自らの仕事の一部を後悔するまでになった。こうしたことを政策立案者は警鐘として受け止めなければならない」とし、「今こそAIを規制する時期だ」と述べた。