[ロンドン/ニューヨーク 9日 ロイター] – エクアドル政府は9日、世界最大規模となる「自然保護債務スワップ」を実施した。自然保護を条件に債務免除を受けるもので、海洋保全のために資金を調達する債券「ブルーボンド」を発行し、少なくとも年間1200万ドルを同国領ガラパゴス諸島の保護に充てる。
エクアドルは先週、クレディ・スイスの支援を得て同国の債務約16億ドルを60%近い割引価格で買い戻した。
ミランダ外相は生物多様性は貴重な「通貨」だと表明。ブルーボンドは「ガラパゴス債」と銘打ち、6億5600万ドルを発行する。償還期限は2041年、利率は5.645%。
エクアドル国債の利回りは現在17─26%だが、ガラパゴス債は米州開発銀行(IDB)が8500万ドルの信用保証を行うほか、米国際開発金融公社(DFC)も6億5600万ドルの政治リスク保険を提供するため、事実上リスクを低減できる。
自然保護債務スワップは近年、ベリーズ、バルバドス、セーシェルで成功を収めてきたが、エクアドルは環境保護に投じる4億5000万ドルを踏まえると債務を10億ドル以上削減でき、過去の事例を大幅に上回る大規模な自然保護債務スワップとなった。
エクアドル政府は債務の買い戻しで節約した10億ドル以上を他の目的に充当できるが、環境保護に貢献できる点が自然保護債務スワップの最大のメリットで、自然が豊かな他の高債務国にも利用が広がることが期待されている。