トランプ前大統領が11日、米国の女性作家から訴えられていた裁判の判決(賠償金の支払いなど)を不服として米連邦第2巡回区控訴裁判所に控訴した。この記事を読んで気になったのが「連邦巡回区控訴裁判所」という聞きなれない裁判所のことだ。早速ググってみた。ウィキペディアによるとこの裁判所は「アメリカ合衆国における控訴裁判所のひとつで、合衆国全域における特許や関税などの特定分野の事件を管轄する裁判所」とある。トランプ氏の裁判は確か性的暴力に関連したものだが、性犯罪も特定分野に該当するのだろうか、初歩的な疑問が湧いた。調べてみたがよくわからない。当面は宿題として残しておく。ついでにトランプ氏の裁判は何を争っているのか調べてみた。こちらは簡単に裁判ならびに判決の概要が把握できた。そしていくつかの疑問が湧いた。

断っておくが私はトランプ氏の崇拝者でもないし、共和党の支持者でもない。日本に在住するごくありふれた普通の市民であり、特定の思想信条や主義主張に確信を持っているわけでもない。強いてあげれば本当の真実は何か、それが知りたいだけである。若干へそ曲がりであることは否めないが、それ以上でもそれ以下でもない。そんな私がこの裁判で最初に疑問に感じたのは、なぜ30年も前のことがいま争われているのかということだ。訴えたのは米女性作家のジーン・キャロルさん。御年79歳である。ニューヨーク地方裁判所で争われた。N Yは言うまでもなく民主党の牙城である。公平な手続きによって選出されたとしても陪審員の大半は親民主党になる。トランプ氏に不利な判決が下されるのは想像できる。結果、キャロルさんを試着室で強姦した罪は否定されたものの、性的暴力があったとして日本円に換算して7億円弱の賠償金の支払いが命じられた。

トランプ氏はこの手の民事裁判をいくつも抱えている。女性が絡まない裁判もある。この4月には業務記録改ざんの容疑でN Y州大陪審に起訴されている。こちらは刑事裁判である。判決次第では監獄にぶち込まれる可能性もある。にもかかわらず同氏は来年の大統領選挙に立候補、共和党の有力候補として影響力を発揮している。日本だったらありえない。起訴されただけで政治生命は終わる。だがトランプ氏は熱狂的な支持者のみならず、予備選挙に向けて党内の支持率を拡大している。このギャップはなんだろう?米国全体が親トランプと反トランプに分裂していることが大きいが、個人的には大半のマスメディアが真実よりも反トランプを優先している結果ではないかと思う。判官贔屓ではないが、マスメディアがトランプ氏を叩けば叩くほど人気が上がる。メディアが抱える致命的な欠陥である。