[ロンドン 11日 ロイター] – 英中央銀行(イングランド銀行)は11日、政策金利を4.25%から4.50%に引き上げた。市場も同様の引き上げを予想していた。12回連続の利上げで政策金利は2008年以来の高水準となった。
ベイリー総裁は会見の冒頭、「インフレ率の2%目標回帰に向けて最後までやり遂げる」と述べるとともに、同中銀は次の動きについていかなるシグナルも発しておらず、データ次第であることを強調した。
成長見通しも上方修正し、景気後退は予想していない。
一方でインフレ率の低下は予想より遅いとし、予想外に大幅で持続的な食品価格の上昇が主因とした。
中銀は「一段と持続的な圧力が示されれば、金融政策のさらなる引き締めが必要になる」と指摘。2月と3月のガイダンスを維持した。
金融政策委員会(MPC)は7対2で引き上げを決定、ロイター調査のエコノミスト予想と一致した。ディングラ委員とテンレイロ委員が前回に続き利上げに反対した。
エネルギー価格は現在大幅に下落しており、中銀は3月に10.1%だったインフレ率が年末までに5.1%に低下すると予想している。鈍化幅は2月に予想した3.9%よりも小さく、2025年初めまで目標の2%に戻らないと見通している。食品価格予測を引き上げたことで、インフレ見通しが2月に比べ1%ポイント程度上昇したという。
多くの中銀政策担当者は、このインフレ予測に「かなりの」上振れリスクがあるとみている。これを考慮すると、金利がさらに0.25%ポイントかそれ以上引き上げても、今後数年間はインフレ率が目標を大きく下回ることはないと予測している。
中銀はまた、最近の強い賃金の伸びが経済の長期的問題となる可能性を懸念。「賃金は、中期的に持続的な2%のインフレ目標と一致する水準を上回って高止まる可能性がある」という。
中銀は、過去の利上げのおよそ3分の1が家計や企業に反映されたと推計。ただ固定金利での住宅ローンの割合が高いため、以前の引き締めサイクルに比べて反映は緩やかだ。
中銀の発表後、市場では追加利上げ期待が高まり、政策金利は今秋に5%近辺でピークを迎えるとの見方が織り込まれた。
キャピタル・エコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、ポール・デールズ氏は、金利はおそらく現在ピークに達しているが、24年まで同水準にとどまり、その後は利下げに転じる可能性があると述べた。
abrdnのシニアエコノミスト、ルーク・バーソロミュー氏は、今後発表されるインフレデータは「特に為替を中心とした市場の変動要因になる可能性があり、ポンドは今後英中銀が他の中銀行よりも積極的に行動することを織り込んでいる」との見方を示した。
英中銀は他の主要国中銀に先駆けて21年12月から利上げを開始したが、インフレ率が高止まりする中、利上げが十分でないとの批判も上がっている。
3月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比10.1%上昇だった。昨年10月に記録した41年ぶりの高水準である11.1%からは低下しているものの、依然として二桁台にとどまっている。
その後、ベイリー総裁はブルームバーグテレビとのインタビューで、12回連続の利上げを受けて英金利がピークに近づいていることを期待すると表明。「金利水準が落ち着くべき時点に近づいている」と述べた。
ただ、追加利上げの必要性の有無を判断するための十分な根拠はまだ持っていないとし、英中銀の引き締めサイクル終了を確信するには時期尚早とした。
シティは英中銀が6月の会合で少なくともあと1回の利上げを決定すると予想。8月にも追加利上げの可能性があるとした。