【カイロ時事】アラブ連盟は19日、サウジアラビア西部ジッダで首脳会議を開き、終了後「ジッダ宣言」を発表した。12年ぶりのシリアの連盟復帰について「シリアの安定を支え、領土の一体性を保ち(シリアが)アラブ世界で通常の役割を再開すること」に期待を表明したが、歓迎ムードがいつまで続くかはまだ分からない。
ロイター通信によると、シリア復帰に最後まで反対していたカタールもこの日はタミム首長がジッダへ赴いた。国営シリア・アラブ通信(SANA)は、アサド大統領とタミム首長が握手したと伝えたが、カタールでは報じられなかった。
さらにタミム首長は会議を途中退席した。ロイター通信は、関係者の話としてタミム首長とアサド大統領は一切言葉を交わしていないと伝えている。
首脳会議前には、サウジのムハンマド皇太子がアサド大統領と握手。シリア復帰を「うれしく思う」と演説した。ジッダ宣言はシリア危機解消へのアラブ諸国の「努力の維持と強化」を訴えた。ただ、シリア復帰に際し示されていた難民帰還や麻薬密輸などの課題に関しジッダ宣言には具体的に記されていない。
シリア復帰には欧米の反発も強い。サウジのファイサル外相は首脳会議後の記者会見で、欧米の立場に理解を示した上で「新たな手法が求められている」と釈明。「対話」が必要だと述べた。
首脳会議にはウクライナのゼレンスキー大統領が出席し、ウクライナの和平案への支持を呼び掛けた。しかし、ジッダ宣言には、ロシアのウクライナ侵攻への言及もなかった。