- 米債務交渉が再開、米追加利上げ巡り見解割れる、英CPIショック
- シティがバナメックス売却取りやめ、債務上限交渉は長期化も
なかなか進展の見られない米債務上限交渉ですが、合意がまとまったとしてもリセッション(景気後退)が深刻化する可能性は残るかもしれません。ブルームバーグ・エコノミクスは、共和党の歳出削減案では57万人の雇用喪失につながる可能性があると分析しています。米国債市場では米国がデフォルト(債務不履行)に陥るとの懸念が強まっており、6月初旬に満期を迎える米財務省短期証券(TB)のレートが急伸しました。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
楽観
米債務上限問題を巡るホワイトハウスと下院共和党の交渉担当者は24日、4時間にわたり協議を実施した。協議終了後、マッカーシー下院議長(共和)は、「合意し、交渉を終わらせる時間はあると、私はなお考えている」と語った。そうした中、イエレン財務長官は、連邦政府が支払いを行うための資金が6月1日にも枯渇する可能性があると改めて警告した。
見解割れる
米連邦公開市場委員会(FOMC)が5月2、3両日に開いた会合では、銀行セクターでのストレスが経済に与える影響について高い不確実性がある中、インフレ抑制に向けた追加利上げの必要性を巡り参加者の見解が分かれたことが、議事要旨で明らかになった。「もし経済が現在の当局者見通しに沿って展開するなら、今会合後のさらなる政策引き締めは必要ないかもしれない」と一部の参加者は指摘。一方で、「インフレ率を2%に戻すための進展が受け入れ難いほど遅い状態が続く可能性があるとの見通しに基づき、将来の会合での追加の政策引き締めが正当化される可能性が高いと発言した」参加者もいた。
CPIショック
24日の取引で英国債利回りが上昇し、トラス前政権が財源の裏付けのない大型減税計画を発表して市場が大混乱に陥った時以来の高水準を付けた。この日発表された4月のインフレ統計が衝撃的な内容で、市場はイングランド銀行(英中央銀行)の利上げ見通し引き上げを迫られた。英10年債利回りはいまや同年限の米国債利回りを50ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上回り、利回り差は過去10年余りで最大に並ぶ水準。英国債の2年物と10年物の逆イールドは2月以降で最大の大きさとなり、短期金利が長期にわたり高止まりする可能性にトレーダーが身構えていることを示唆する。
取りやめ
米シティグループは、傘下のメキシコ・リテール銀行バナメックスの売却計画を取りやめる一方、2025年に同部門の新規株式公開(IPO)を実施する意向だ。バナメックス売却を巡ってシティは1年以上にわたり多くの買い手候補と協議を進めてきたが、合意には至らなかった。今回の決定により、今四半期(4-6月)に「適度な水準で自社株買いを再開できる」とシティは説明した。
長期化も
著名エコノミストのヌリエル・ルービニ氏は、米国債のデフォルト回避に向けた協議は長引く恐れがあり、債務上限引き上げで合意に至らなければ、市場は大打撃を受け、長期的にはドルの信認が損なわれると警告した。同氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「合意がまとまるのは最後の1時間に入ってからかもしれない。あるいは合意に至らない可能性もある。もし合意が実現しなければ、市場は暴落することになる」と述べた。
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