[アンカラ 24日 ロイター] – トルコ大統領選の決選投票を28日に控え、エルドアン大統領の与党・公正発展党(AKP)内で今後の経済政策について見解が割れている。 5月25日 トルコ大統領選の決選投票を28日に控え、エルドアン大統領の与党・公正発展党(AKP)内で今後の経済政策について見解が割れている。写真は23日、トルコ・イスタンブールで撮影(2023年 ロイター/Dilara Senkaya)
複数の関係筋によると、AKPの非公式グループは数週間前から会合を開き、金融政策を緩やかな利上げ路線に転換する選択肢や、公的機関・政府補助金を通じて的を絞った融資を実行する選択肢を協議している。
エルドアン氏は協議には直接関与しておらず、他の議員は利下げを通じて輸出と経済成長を押し上げる現行政策を堅持する意向を公に表明している。
トルコでは外貨準備が急減しており、一部のアナリストは現行政策を変更しなければ年内にも再び経済が混乱し、インフレ高進と対外収支の悪化に見舞われかねないとの見方を示している。
ある関係筋は「(AKPの非公式グループは)現在の経済モデルが持続不可能なため、新たな経済モデルを検討している。基本的には金利を段階的に引き上げ、複数の金利を使う構造を終わらせようとしている」と述べた。
決選投票で再選を目指すエルドアン氏は、自身が政権を維持する限り金利は下がり、インフレは抑制されると選挙戦で訴えている。
関係筋によると、エルドアン氏は経済のひずみ拡大や外貨準備の急減を巡る懸念について話を聞いているが、同氏が今後の経済政策について決断を下した形跡はない。
エルドアン氏は大統領選の第1回投票で予想を上回る49.5%の票を確保しており、関係筋によると、大統領選に勝利した場合、少なくとも数カ月間は現行政策を維持する可能性がある。
ある関係筋は、どのような決定を下すのであれ、次の重要な選挙である来年3月の地方選までは経済の安定を重視すると予想。
別の関係筋は、エルドアン氏が大勝すれば、指導部が「急激な変化は不要」との認識で一致する可能性があるとの見方を示した。
エルドアン氏は「金利の敵」を自任しているが、過去に経済危機に見舞われた際、正統派寄りの政策を採用したことがある。