• 強い米労働市場を複数統計が示唆、米金利据え置き近いとの認識
  • ゴールドマンの見通し、スペースXと米国防総省、若者の金銭感覚
Pedestrians pass a Wall Street subway station near the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., on Tuesday, Sept. 7, 2021. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

ウォール街では年に8回の連邦公開市場委員会(FOMC)と、毎月第1金曜日の雇用統計の日は何かサプライズがあった場合に乗り遅れることのないよう、休みを入れないバンカーが多いと聞きます。マーケットは雇用統計メインの非農業部門雇用者数を受けて即座に反応しますが、このほかにも失業率や賃金、就労時間、労働参加率などと細分化されたデータがあり、統計の解釈が進む中で相場が反転することもあります。予想を裏切る数字が出る可能性もあり、見逃せない米統計としては圧倒的なトップです。5月の雇用統計は日本時間2日、午後9時半に発表されます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

労働市場

ADPが発表した5月の米民間雇用者数は、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の全てを上回り、景気を下支えする底堅い労働市場を浮き彫りにした。別の統計では、先週の米新規失業保険申請件数が小幅に増加したものの、依然として労働需要の堅調さを示唆する水準だった。2日に発表される5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が19万5000人増加したと予想されている。平均時給は前月比0.3%増が予想されているが、前月はほぼ1年ぶりの大幅増加だった。5月の失業率は3.5%に小幅上昇すると見込まれている。

据え置き地点

米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は「政策金利を据え置き、インフレ率を適時に目標に戻すための仕事を金融政策に任せることが可能な地点に近づいていると考える」と述べた。景気見通しが不透明だとし、今後発表されるデータを精査すると強調。インフレは当局の2%目標を依然として「大きく上回っている」と指摘した。ハーカー氏は「ディスインフレが進行しているものの、がっかりするほどペースは鈍い」と話した。

25%減収

ゴールドマン・サックス・グループは「極めて厳しい」経済状況の中で、投資銀行業務が昨年と比べて急減速すると投資家に注意を促した。ジョン・ウォルドロン社長は「現在、われわれは人員についてターゲットを絞った追加行動に着手している」と発言。4ー6月(第2四半期)のトレーディング事業は前年同期比で25%余り落ち込みつつあると説明し、「しばらく景気収縮的な環境になるとみられる」と述べた。

衛星通信

米国防総省は資産家イーロン・マスク氏率いる米宇宙開発企業スペースXから、衛星通信サービス「スターリンク」をウクライナ軍向けに購入すると発表した。ウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)向けに議会が割り当てた資金で行われる可能性が高い。米軍当局者らはこれまで、ロシアによる侵攻後のウクライナで民間人の通信を維持し、同国軍に重要な通信手段を提供することにおいて、スターリンクのターミナルが果たした役割を高く評価している。

悲観

米国では若い成人の半数以上が親より貧しい生活を送ると考えていることが、最新の調査で明らかになった。42%は住宅購入の頭金を用意することを諦め、給料ぎりぎりの生活を「おおむね受け入れている」という。調査では金銭感覚と習慣について性や年齢、所得、人種別に分析。定期的に貯蓄をしていると回答したのは黒人で33%、ヒスパニック系で36%だったのに対し、白人は29%にとどまった。「世界的な困難を考えると、きょう一日だけを生きればよいと思う」との文章に共感すると回答したのは48%だった。

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