[イスタンブール 9日 ロイター] – トルコのエルドアン大統領は9日、新たな中央銀行総裁に米ファースト・リパブリック・バンクで共同最高経営責任者(CEO)を務めたハフィゼ・ガイ・エルカン氏を任命した。

エルドアン政権は物価高騰に対処するため、よりオーソドックスな経済政策への回帰を示唆している。3日には新財務相にシムシェキ元副首相・財務相を任命した。

中銀総裁は4年間で5人目。エルカン氏はファースト銀の共同CEOやゴールドマン・サックスのマネジングディレクターを務めた経歴を持つ。米金融業界などでの経歴はあるものの、金融政策に携わった経験がないことから政策方針はよく分かっていない。

トルコではカブジュオール中銀総裁の下、2021年に記録的な通貨暴落が起き、昨年のインフレ率は24年ぶり水準となる85%超に上昇した。リラは今週も史上最安値を更新しているが、新総裁発表後は安値をわずかに上回る1ドル=23.5010リラで推移した。

カブジュオール氏は、銀行監督機関の銀行調整監視機構(BDDK)のトップに就く。

アナリストは、シムシェキ財務相とエルカン中銀総裁の任命は利上げの地ならしとなり、外国人投資家が再びトルコに戻る可能性があると指摘。かつて経済政策の正統派を起用し、直ちに方針転換したことがあるエルドアン氏だが、新たな財務相と中銀総裁にどれだけ独立性を与えるかが重要だという。

コンサルティング会社テネオのウォルファンゴ・ピッコリ氏は「エルドアン氏が来年3月の統一地方選を優先することを考えると、経済面でより現実的な姿勢をいつまで容認するかは不明だ」と懐疑的な見方を示した。

一方、エルカン氏がかつて理事を務めた米非営利団体「パートナーシップ・オブ・ニューヨーク・シティー」のキャサリン・ワイルドCEOは「彼女は振り回されるような人ではなく、感じ悪くならずに反対することもできる」と述べた。