• S&P500種の行方、ワインスタイン氏の見方
  • ゴールドマンCEOの見解、インフレ期待低下、ナスダックが買収
A monitor displays an S&P 500 chart on the floor of the New York Stock Exchange. Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

13日に発表される5月の消費者物価指数(CPI)を前に、12日の米株式市場では積極的な取引は手控えられました。CPIは前年同月比4.1%上昇が予想されており、実際にそうなれば2021年3月(2.6%上昇)以来の低い伸びとなります。ブルームバーグ商品指数も5月に6%余り低下しており、5月のインフレ鈍化を示唆しています。ただ、問題はその後。同商品指数は現在、5月末とほぼ同水準にあり、一段と下がっているわけではありません。利上げが一時停止されても、すぐに再開されるとの思惑がくすぶっています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

強気相場入り後は

S&P500種株価指数が強気相場入りした後の動きについて、モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループが異なる見方を示した。ゴールドマンのデービッド・コスティン氏は急上昇したテクノロジー株に他のセクターが追いつく形で上昇が続くと予想。一方、モルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は1940年代の弱気相場ではS&P500種が24%上昇した後に新たな安値を付けたことを指摘。「弱気相場が終わったと公式に宣言する向きが増えているが、当社は2023年の利益見通しに基づきこれに異を唱える」と論じた。

「常に間違う」

ヘッジファンド運用会社サバ・キャピタル・マネジメントの創業者ボアズ・ワインスタイン氏は今週、市場は「常に間違う」と述べた。異なる資産クラスが矛盾したシグナルを送る現在、どの市場が一番間違っているかが大きな問題だ。少数の大型テクノロジー銘柄に限られていた上げが、今週に入り裾野を広げる顕著な兆候を示した米国株市場か。悲観にあふれ利下げへの賭けが急激に増加している債券市場か。ワインスタイン氏は景気見通しにとらわれ過ぎるのは間違いだと言う。「経済の行方について幅のある複数の道筋を考えるべきだ」と語った。

追加利上げも

米ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は12日、インフレが根強く続く中、米金融当局はなお利上げを実施する可能性があるとの考えを示した。「インフレはやや粘着性が強まっている」とし、「金利がさらに高くなる可能性は十分ある」と発言。「もしそうなれば、恐らく経済環境はもう少し厳しくなるだろう」と述べた。経済環境の引き締まりにもかかわらず、経済が強靱(きょうじん)であることに驚いていると語り、「想定していたよりもかなりのソフトランディングとなって、どうにか切り抜けることができるかもしれない」と付け加えた。

2年ぶり低水準

米消費者の1年先のインフレ期待は5月に低下し、2年ぶり低水準となったことが、ニューヨーク連銀の調査で明らかになった。NY連銀が12日発表した5月の消費者期待調査によると、1年先のインフレ期待(中央値)は前月から0.3ポイント下げて4.1%と、2021年5月以来の低水準。3年先のインフレ期待は3%、5年先は2.7%となり、共に0.1ポイント上昇した。消費者が自身のファイナンスに対して不安を強めていることも示された。1年後の所得の伸びに関する期待は2.8%と、前月の3%から下げた。

ソフト会社買収

ナスダックは金融ソフトウエアメーカー、アデンザをプライベート・エクイティ(PE、未公開株)投資会社トーマ・ブラボーから買収することで合意した。ナスダックにとっては過去最大の買収となる。発表資料によれば、現金・株式交換による今回の買収は105億ドル(約1兆4600億円)規模となる。買収合意の一環としてトーマ・ブラボーはナスダックの株式14.9%を保有し、ナスダックの取締役会で1議席を得るという。アデンザは銀行や資産運用会社、証券取引所など金融サービス業界向けにソフトウエアを販売している。

その他の注目ニュース

ベルルスコーニ氏死去、86歳-実業家から伊首相、相次ぐ不祥事も

トヨタ副社長、EV150万台達成に自信-需要増視野に生産体制も準備

BNPパリバが円金利トレーディング拡大、人材不足下で若手採用強化