[チューリヒ 22日 ロイター] – スイス国立銀行(中央銀行)は24日、金融安定報告書を発表した。経営破綻した同国の大手銀行クレディ・スイスがUBSに救済買収されたことを受け、危機から教訓を学び同様の事態を防ぐための対策を検討することが重要との認識を示した。

「銀行の耐性を強化して信頼が失われるのをできるだけ防ぎ、危機が発生した場合にシステム上重要な銀行を安定、回復、または閉鎖するための幅広い効果的な選択肢を確保しておく必要がある」と訴えた。

中銀に担保として提供できる最低限の資産を用意することを将来的に銀行に求める必要があるとの見解を示した。

クレディ・スイス買収後のUBSがどの程度の強靭性を持つかはまだ判断できないとした。

「このような分析において現在入手可能なデータでは、統合後の銀行の強靭性を包括的に評価するには不十分だ」と説明した。

今回の危機から3つの重要な見解が得られたとし、銀行の信頼を維持するために自己資本規制の順守は必要だが十分ではなかったと振り返った。

「第2にクレディ・スイスの債券『AT1』債が損失の吸収に用いられたのは同行の破綻が迫り政府の介入が必要になった時点だった」とした。

また、クレディ・スイスの信頼が失われたことによる預金流出の規模とペースは前例がないもので、流動性規制の想定よりも深刻だったと指摘した。