[フランクフルト 22日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)の上級顧問は22日、FRBと欧州中央銀行(ECB)が過去10年間で銀行システムに供給した流動性の最大90%を吸収できる可能性があるとの論文を公表した。
高インフレと高金利で余剰流動性のニーズが低下しているという。
論文は来週ポルトガルで開催されるECBの年次会合に提出される。FRBとECBが準備資金の需要を満たすため、どの程度の流動性を銀行システムに維持すべきかを論じている。
米国債とドイツ国債は流動性と安全性が高く、市場でプレミアムがつくため、銀行が担保として中銀に差し入れるインセンティブは相対的に低い。
FRBの場合は、米国債のみを担保として受け入れる場合、準備資金総額を現在の6兆ドルから6000億ドルに、他の資産も受け入れる場合は3兆3000億ドルに削減できる。
ECBの場合は、ドイツ国債のみを担保として受け入る場合、流動性の供給を現在の4兆1000億ユーロ(4兆5100億ドル)から5210億ユーロに、他の資産も受け入れる場合は1兆4000億ユーロに削減できる。
論文では準備資金の需給と中銀が担保として受け入れる資産の相対的な利便性の問題のみを取り上げており、どちらのシナリオも短期的には全く現実的ではないが、論文の著者であるAnnette Vissing-Jorgensen氏は、今回の推計値について、中銀がバランスシートの規模を調整する際の参考になり得ると述べている。