[ワシントン 22日 ロイター] – インドのモディ首相は22日、ホワイトハウスでバイデン大統領との会談後に臨んだ記者会見で、インド国内の宗教や少数派に対する差別を問う記者の質問に強く反論した。
記者から「インド国内のイスラム教徒やその他の少数派の権利を改善し、言論の自由を守る」ため、どのような措置を取る意思があるかと問われた際に「われわれの憲法と政府、そしてわれわれ自身は民主主義が実現できることを証明してきた。これは、カーストや信条、宗教、性別において(わたしの政権下では)いかなる差別も存在しないということだ」と強調した。
インドの人権状況を巡っては、一部の米議員や人権保護団体などから懸念の声が上がっている。米国務省は人権と宗教の自由に関する報告書で、インドのイスラム教徒やダリット(最下層の被差別カースト民)、キリスト教徒など少数派の待遇について懸念を示し、ジャーナリストへの弾圧にも言及した。
米下院で2名のイスラム教徒女性議員であるイルハン・オマル議員とラシダ・トレイブ議員、与党・民主党の急進左派、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員は、モディ政権によるイスラム教徒をはじめ他の宗教信者に対する厳しい政策に抗議するため、22日のモディ氏の議会演説をボイコットした。
バーニー・サンダース上院議員は、モディ政権の攻撃的なヒンズー至上主義がインドの少数派宗教の人々にほとんど居場所を残していないと批判した。
ホワイトハウス近くには22日、抗議活動を行う数十人が集まった。その中の1人は「インド政府による宗教差別はないというモディ氏の発言は、全くの嘘だ。インドは少数派宗教にとってブラックホールになっている」と批判した。
オバマ前大統領は22日に放送されたCNNとのインタビューで「ヒンズー教徒が多数を占めるインドでの少数派イスラム教徒の保護は、留意すべき点だ」と述べるとともに「少数派の権利保護がなければ、ある時点でインドはバラバラになる可能性が高い」と懸念を示した。