• 1ドル=145円に接近、ハト派総裁の見解、米最高裁が違憲判断
  • ゴールドマンが5年ぶり首位陥落、シタデルが債券市場でも攻勢
Vehicles are driven along I-95  in Miami, Florida. Photographer: Joe Raedle/Getty Images

米国では北東部から南東部への人口と富の移動が顕著になっています。内国歳入庁(IRS)が最近発表した分析によると、2020年と21年に南東部には移住者増加で1000億ドル(約14兆5000億円)の所得が新たに流入した一方、北東部からは約600億ドルが流出。フロリダやテキサスなど急成長する南部6州による国内総生産(GDP)寄与度は、1990年代にさかのぼる政府統計で初めて、ニューヨーク州を含む北東部を上回ったようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

一時144円90銭

ニューヨーク外国為替市場で円が対ドルで下落。一時144円90銭と、心理的節目の145円に接近した。ドルは朝方発表された米経済指標に反応して上昇。1-3月(第1四半期)米実質国内総生産(GDP)確定値は前期比年率2%増に上方修正され、先週の新規失業保険申請件数は2021年10月以来の大幅減となった。金利スワップ市場では、米金融当局が年内にあと2回利上げする確率が50%強あるとの見方が織り込まれた。年内に利下げに転じるとは、もはやあまりみられていない。

緊急性感じない

アトランタ連銀のボスティック総裁は金利据え置きを支持する考えをあらためて示したものの、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長や他の同僚は自分と異なる考えだと述べた。同総裁は「政策が効果を表すのを待つべき時がある。私は追加利上げについてパウエル議長を含めた他のメンバーほど緊急性を感じない」と語った。パウエル議長はこれより先、マドリードでの会議で、年内に少なくともあと2回の利上げが必要であり、連続利上げの可能性も排除しないと語っていた。

教育は新時代へ

米連邦最高裁判所は、大学が入学希望者の人種を選考要素に含めるのは憲法に反するとの判断を下した。ハーバード大学とノースカロライナ大学の選考プログラムは平等な権利を保障した憲法に反すると最高裁は指摘。判決は6-3で、保守派とリベラル派に分かれた。反対したソトマイヨール判事は「最高裁はこの日、数十年続いた前例を覆し、表面的な人種無視のルールを米国に押しつけた」と、反対意見書の要約を読み上げる異例の行動に出た。今回の判決で、米国のトップ校では黒人とヒスパニックの学生が減る可能性があり、多くの大学が選考基準の見直しを迫られるとみられる。

5年ぶり首位陥落

ゴールドマン・サックス・グループは企業の合併・買収(M&A)助言で世界一の座を5年ぶりに失った。ブルームバーグがまとめたデータによれば、今年1-6月(上期)はJPモルガン・チェースが2840億ドル(約41兆円)相当の案件で助言し首位。市場シェアは22.5%となった。ゴールドマンは2370億ドル相当を手掛けシェアは18.8%。上期の案件は世界で前年同期から42%減の1兆3000億ドルと、この10年でも特に不振の半期だった。20-21年のディールメーキングブーム時に採用を増やした銀行は今、手数料収入急減に直面している。

債券市場にも参入

ヘッジファンド運営会社シタデルのマーケットメーク(値付け業務)部門シタデル・セキュリティーズが数兆ドル規模の社債市場に参入し、ウォール街の銀行が得意とする領域で攻勢をかける構えだ。同社幹部らによると、今月から投資適格級債の取引について顧客への提供を開始。年内にはハイ・イールド債の取引も開始する予定だという。同社はすでに米国で個人投資家の株取引の3分の1余りを握るが、ここにきて金利スワップや米国債以外の債券分野でも存在感を高めている。

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