[東京 29日 ロイター] – 日韓両政府は29日、100億ドルの通貨スワップ協定を再開すると発表した。日韓両政府による二国間通貨スワップ再開は8年ぶり。日韓両政府による「財務対話」を2024年に韓国で開催することでも合意した。
鈴木俊一財務相と韓国の秋慶鎬企画財政相が同日開いた財務対話を通じて合意した。通貨スワップは危機時に外貨を融通し合う仕組みで、日韓両国の財務対話で地域金融のセーフティーネットを強化することで一致した。
鈴木財務相は、財務対話後の記者会見で「アジア域内の経済を支え、金融の安定を維持するためには域内の金融セーフティーネットであるチェンマイ・イニシアチブ(CMIM)とともに、二国間の通貨スワップを強化していくことが必要との認識を両国で共有した」と語った。
日韓両国とも「十分な外貨準備が積み上がっており、当面は(発動されることは)ないと思うが、いざというときの備えは(通貨の)信認にはプラスに働く」とした。
秋企画財政相は、通貨スワップ再開は金融分野の協力を強化する上で意義深く、ドル流動性の資源を拡充することになると述べた。
韓国大統領府は、今回の合意は関係改善を象徴するもので、金融・為替市場にプラス効果をもたらすことが予想されると表明した。
日韓両国は2001年7月に20億ドルのスワップ協定を結び、別建ての協定も含め2011年10月には700億ドルの通貨融通の枠組みを持っていた。その後段階的に融通枠を引き下げ、失効する15年2月までは100億ドルとしていた。
日韓両国の関係悪化を背景に2015年以降はスワップ協定を結んでいなかった。
<より緊張感持って注視>
鈴木財務相は会見で為替市場についても言及し、「一方的な動きや、安定的ではない動きは好ましくない」との考えを述べた。
会見では「より緊張感をもって市場の動きをみている。行き過ぎた動きがあるとするなら、必要な対応を取る考えに変更はない」とも強調した。
為替水準そのものに対する言及は避けた。