[29日 ロイター] – 米国とオランダが協調する形で半導体製造装置の中国向け輸出規制を強化しようとしている。

オランダは既に、世界最大の半導体製造装置メーカーである同国のASMLが手掛ける、最先端半導体の製造に不可欠な極端紫外線を使った露光装置(EUV)の輸出を制限しており、これまで中国には1台も出荷されていない。

これに加えて今後は、EUVに次ぐ高度技術となる深紫外線を使ったASMLの露光装置(DUV)についても、輸出ライセンス申請を義務付ける新たな規制を30日にも公表する見通しだ。

複数の関係者の話では、この規制は即時発効するわけではない。関係者の1人は9月から適用されるだろうと述べた。

一方米国は7月下旬に、中芯国際集成電路製造(SMIC)が運営する工場を含む中国の6カ所前後の半導体生産施設向けに製造装置を輸出する場合は、ライセンス申請を必要とする新たな規制を公表する可能性がある。ただ事情に詳しい関係者は、実際にはライセンスを申請しても拒絶される公算が大きいと説明した。

この規制は、米国の半導体製造装置メーカーだけでなくASMLも対象となる見込み。ASMLのシステムに米国製の部品が組み込まれているためだ。

オランダ政府とASML、輸出規制を担当する米商務省はコメントを控えている。

米政府は10月に米企業による中国への半導体製造ツールの輸出を安全保障上の理由で制限することを決め、他国にも同様の措置を取るよう働きかけた。

ワシントンの中国大使館報道官はこの動きについて、米国は「中国企業を意図的に排除して妨害し、産業を強制的に移転させデカップリング(分断)を推し進めてきた」と批判、中国は「状況を注視し、自国の利益を断固として守る」と強調した。