[ニューデリー 4日 ロイター] – 中国とロシアが主導する地域協力組織「上海協力機構(SCO)」は4日、SCOはいかなる国家とも敵対するものではなく、全ての国との広範な協力の道を閉ざさないとする共同宣言を採択して首脳会議を締めくくった。

共同宣言は、SCOは「集団化、イデオロギー、対立的思考」による国際、地域問題の解決に反対すると表明したほか、「特定の国々や国のグループによる一方的で制限のない世界規模のミサイル防衛システムの拡大」がもたらす悪影響を批判。ただ、北大西洋条約機構(NATO)拡大やウクライナに対する西側諸国の軍事支援への直接的な言及はなかった。

SCOは2001年にロシアと中国が発足させ、インド、パキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンが加盟。4日にはイランが9カ国目のメンバーとして加盟したほか、ベラルーシが2024年の加盟に向けた覚書に署名した。

オンライン形式で開催され今回の首脳会議にはロシアのプーチン大統領も参加。先月に起きた民間軍事会社ワグネルの武装蜂起以降で初めて国際会議に出席した。

プーチン氏は、紛争の可能性と世界経済危機のリスクが高まっていると警告。ロシアがウクライナで進める「特別軍事作戦」に対する西側諸国の圧力、制裁、「挑発行為」に断固として立ち向かうと述べ、SCOとの関係強化を表明した。

中国の習近平国家主席は交流の強化のほか、共通の安全保障の確保などを呼びかけ「この地域の全体的かつ長期的な利益を念頭に置き、独自に外交政策を決定する必要がある。新たな冷戦、もしくは陣営に基づく対立をわれわれの地域で煽ろうとする外部の企てに強く警戒しなければならない」と語った。

今回のSCO首脳会議は、20カ国・地域(G20)の議長国でもあるインドが議長を務めた。プーチン氏と習氏は、G20首脳会議が開催される9月にニューデリーを訪問するとみられている。